アーバネット Research Memo(3):ターゲットを絞り込んだ新しいコンセプトのマンション開発などにも取り組む

2019年9月10日 15:03

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記事提供元:フィスコ


*15:03JST アーバネット Research Memo(3):ターゲットを絞り込んだ新しいコンセプトのマンション開発などにも取り組む
■会社概要

3. 企業特長
アーバネットコーポレーション<3242>の特長(強み)として、(1)優れたデザイン性や機能性、好立地へのこだわりによる差別化、(2)徹底したアウトソーシングによる少人数体制により固定費を圧縮する効率的な経営を挙げることができる。

(1) 優れたデザイン性や機能性、好立地へのこだわり
同社は、得意とする設計・開発に経営資源を集中することで、デザイン性や機能性に優れた「ものづくり」による差別化を始め、用地取得の可否を短時間で決定できる自社内プラン設計体制に強みを有する。特に、「ものづくり」への「5つ」のこだわりとして、1)モノトーンでインパクトのある外観、2)アンケートによるユーザーニーズの徹底分析、3)空間を最大限に生かした収納スペース、4)自社開発までするこだわりのファシリティ「ユノバース」※、5)アートのある居住空間、を掲げており、それらが一体となった価値提供により、ターゲットとなる若い世代からの支持を受けてきたと言える。また、立地に関しては、都内23 区内で駅から徒歩10 分以内の用地を基本としている。

※自社開発の足を伸ばせるユニットバス。


2019年4月には同社開発物件の「ケリア西馬込アジールコート」が全住協※1優良事業審査会による第 9回優良事業賞を受賞した※2。また、音大生やミュージシャン、音楽関係者、音楽を楽しみたい人達などを対象とした防音賃貸マンション(ミュージシャンズヴィラ)※3など、ターゲットを絞り込んだ新しいコンセプトのマンション開発にも取り組んでいる。

※1 全国住宅産業協会とは、中堅企業を中心に上場企業も含む全国1,700社を擁する団体で、会員は首都圏並びに北海道から沖縄まで、各地域においてマンション及び戸建住宅の供給や住宅を始めとする不動産流通事業等を行っている。
※2 審査会による選評は以下のとおり。「都営浅草線『西馬込』駅徒歩 8分、周辺は都心へのアクセスが良好であり、羽田空港も近く空港関連企業も含めた賃貸需要が見込めるため、多くのワンルームマンションが供給されている。そうした立地特性を生かし、土地の仕入段階からファンドへの売却相談を行い、着工時には当初予想価格より高値で売却先が決定している。外観デザイン、エントランスに設置したモニュメント、住戸内の豊かな収納スペースやオリジナルコンパクトキッチンなど、きめ細かい工夫や配慮が散りばめられている」(同社開示資料より抜粋)。
※3 第1号である「ミュージシャンズヴィラ幡ヶ谷」は既に契約済みとなっている。


なお、同社はアートと住空間の融合による社会貢献活動(CSR)の一環として、学生のみを対象とした立体アートコンペティション「アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)」を2001年より毎年開催し、若手アーティストの発掘、支援、育成を行っている。この活動は(公社)企業メセナ協議会※からメセナ(芸術文化支援)として認定されるとともに、同協議会が主催する「メセナアワード2017」にて優秀賞「アートの玄関賞」を受賞している。また、2019年1月には、企業メセナ協議会主催の賀詞交歓会の中で、AAC優勝者の若い作家を多くの企業団体に紹介する機会を実現した。

※企業による芸術文化支援活動の活性化を目的とした中間支援機関。


(2) 少人数体制による効率的な経営
同社は、投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売)をビジネスの核としているが、アウトソーシングを最大限に利用した少人数による効率的な経営を実現している。また、その事業モデルを支えているものは、同社の開発物件に対する評価の高さと販売先との信頼関係と考えられる。2019年6月末における連結社員数(契約社員等を含む)は49名、1人当たりの売上高が約410百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が約27百万円と高い生産性を示している。

特に固定費を低く抑えることで、高い収益性の確保と景気変動にも柔軟に対応できる体制を堅持している。加えて、1棟での卸売は売れ残りリスクが少なく、竣工から短期間での資金回収を可能としており、不動産業界にあって安定性の高い事業構造と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)《ST》

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