【どう見るこの相場】現在の相場を高校野球に例えるとスモールボールか?ビッグボールか?

2019年8月26日 09:41

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 今回の当コラムは、門外漢を重々自認しているが、敢えて前週22日に履正社高校が優勝して幕を閉じた高校野球の甲子園大会について触れてから始めたい。かつて高校野球といえば、1点を争うスモールボール(スモールベースボール)の息詰まる熱戦が、熱烈なファンを引き付けてきた。長打力などの攻撃力が限定的で大量得点が期待薄のため、バント、進塁打、盗塁、犠牲フライなどの小技を駆使、鍛え抜かれた守備力を交えて攻防が目まぐるしいシーソーゲームを演じてきたからだ。

 ところが昨今は、今回の甲子園大会も含めて何本もの満塁ホームランが飛び交い大量得点を挙げるビッグボール(ビッグベースボール)に変わってきた。反発係数の高い金属バットが導入され、選手自体も、体位向上のうえに筋トレでパワーアップしてバットのスイングスピードが格段に飛躍したことが要因で、少々の当たり損ねでもホームランになってしまうからだという。

 では続いて本論のマーケットの話に戻そう。現在の相場は、この高校野球に例えるとスモールボールとビッグボールのどちらなのだろうか?米中貿易戦争が抜き差しならず、米国の対華為技術(ファーウエイ)の禁輸措置の方向性が不透明で、長期金利と短期金利が逆転する「逆イールド」が発生する悪環境下では、ボラティリティの大きな「ビッグボール」相場は望むべくもなく、ディフェンシブ的にコツコツとポイントを積み重ねる「スモールボール」相場が、ベースとなるはずである。

 足元の相場は、このセオリー通りに「スモールボール」相場かといえば、どうもそう単純にはいかない傾向がある。長打力のモノをいわせて大幅に値幅効果を発揮する「ビッグボール」銘柄が、飛び出すのである。反発係数の高い半導体関連株などのハイテク株である。米国の対中経済制裁による中国景気減速懸念などでハイテク需要が鈍化、関連市況も悪化して高成長にストップがかかるはずだったのが、トランプ大統領の鼻息一つで経済制裁が一時猶予されるなどのケースでは、そのたびごとに売り方の買い戻しを巻き込んで大きくリバウンドするからである。

 前週末23日は、米国の対中制裁関税第4弾に対する中国の報復関税公表、トランプ大統領の制裁関税の税率強化表明の応酬で、米国のニューヨーク工業株30種平均は623ドル安と急反落し、週明けの東京市場も波乱の幕開けとなりそうだが、これで相場の方向性が確定するかといえばまだまだ予断を許してくれそうもない。前週23日のジャクソンホール会合でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演は、金利引き下げを示唆したとも評価され、9月17日~18日開催予定のFRBのFOMC(公開市場委員会)などの動向次第では、相場の方向性が一転、ハイテク株や指数寄与度の高い値がさ株などの「ビッグボール」銘柄が、高反発係数が面目躍如となる展開も想定され、腕に覚えの投資家には「リターン・リバーサル」のチャンスとなる可能性もないとはいえないから始末に困る。

■福証単独上場銘柄に反発係数の発揮相場を期待

 しかし、にもかかわらず当コラムでは、なお「スモールボール」相場にこだわりたい。そしてその「スモールボール」銘柄の一つとして福岡証券取引所の単独上場銘柄に注目したい。というのも、福証単独上場銘柄の「スモールボール」銘柄のなかから「ビッグボール」銘柄に大変身した銘柄が突出したからだ。Lib Work<1431>(東マ・福Q)である。同社株は、足元では信用規制強化の影響で高値波乱となっているが、今年6月18日に東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)され、福証Q-board市場との重複上場となって以降、東マIPO後の安値1071円からわずか10営業日間で3025円まで買い進まれて2.8倍の大化けを演じ、上場来高値を更新した。戸建販売の不動産会社としてインターネット集客を行う独自のビジネスモデル、連続して過去最高を更新する好業績、四半期配当制度を続け、上場記念増配を予定する株主還元政策などの「スモールボール」実態が、東証マザーズIPOでようやく全国区銘柄としての認知度を高め、8月16日に発表した自己株式取得・上場記念株主優待の実施が、これに拍車を掛けた結果である。「第2のLib Work」探しへ福証単独上場会社へアプローチするのも有効となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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