米インフレ上昇や米国が一部対中関税発動延期、ドル高&リスクオン106.98円/1.1170ドル

2019年8月14日 06:46

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記事提供元:フィスコ


*06:46JST 米インフレ上昇や米国が一部対中関税発動延期、ドル高&リスクオン106.98円/1.1170ドル
[ロンドン市場概況]

13日のロンドン外為市場では、ドル・円は105円07銭から105円34銭でもみ合った。欧州株が全面安で、米株先物も下落し、リスク回避的な円買いが一時強まった。


ユーロ・ドルは1.1184ドルまで下落後、1.1221ドルまで反発。ドイツの8月ZEW景気期待指数の大幅な落ち込みでユーロ売り先行後、買い戻しに転じた。ユーロ・円は117円70銭から118円04銭まで上昇した。


ポンド・ドルは1.2055ドルから1.2088ドルまで上昇。英国の4-6月週平均賃金の上昇や雇用者数の大幅増でポンド買いになった。ドル・スイスフランは0.9724フランから0.9673フランまで下落した。

[経済指標]
・英・4-6月ILO失業率:3.9%(予想:3.8%、3-5月:3.8%)
・英・4-6月週平均賃金:前年比+3.7%(予想:+3.7%、3-5月:+3.5%←+3.4%)
・英・4-6月雇用者数増減:+11.5万人(予想:+6.0万人、3-5月:+2.8万人)
・英・7月失業率:3.2%(6月:3.2%)
・英・7月失業保険申請件数推移:+2.8万件(6月:+3.14万件←+3.8万件)
・独・8月ZEW景気期待指数:-44.1(予想:-28.0、7月:-24.5)


[ニューヨーク市場寄付]
・ドル・円105円21銭、ユーロ・ドル1.1215ドル、ユーロ・円117円99銭、ポンド・ド
ル1.2085ドル、ドル・スイス0.9677フラン。


[ニューヨーク市場概況]


13日のニューヨーク外為市場でドル・円は、105円15銭から106円98銭まで上昇して10
6円74銭で引けた。

米7月消費者物価コア指数が予想外に上昇したほか、米通商代表部(USTR)
が対中輸入品3000億ドルの10%追加関税に関し、スマホなどの消費財に対する関税発動
を9月1日から12月15日まで先送りし、健康、安全保障関連を制裁対象外としたため、関
税が与える成長への悪影響への警戒感が後退。米中貿易交渉への期待も広がり米債利回
り上昇に伴うドル買い、リスク選好の円売りが加速した。

ユーロ・ドルは、1.1228ドルから1.1170ドルまで下落して1.1172ドルで引けた。

ユーロ・円は、117円97銭から119円59銭まで上昇。

ポンド・ドルは、1.2098ドルから1.2049ドルまで下落した。

ドル・スイスは、0.9660フランから0.9769フランまで上昇した。


[シカゴVIX指数:株式投資家の恐怖心理の度合いを示す指数]
・17.52←21.09日中最大21.64 2018年最大:50.30、過去最低17年8.56


[原油市場概況]


13日のNY原油先物は続伸。米国が一部中国製品に対する追加関税を先送りしたため、貿易摩擦の深刻化懸念が後退。景気先行き見通し悪化で、需要が鈍化するとの懸念も後退し買戻しが強まった。


[株式市場概況]

米国株式相場は上昇。ダウ平均は372.54ドル高の26279.91、ナスダックは152.95ポイント高の8016.36で取引を終了した。下落して寄り付いたものの、米通商代表部(USTR)が、9月1日に実施予定である中国からの輸入品3000億ドル相当への追加関税措置で、一部製品に対する関税賦課の延期を発表すると。大きく上昇する展開となった。追加関税の実施が延期される品目には携帯電話やノートパソコン、ゲーム機、靴などが含まれており、ハイテクや小売銘柄に買いが広がり、終日大幅上昇となった。セクター別では全面高となり、特にテクノロジー・ハード・機器や半導体・半導体製造装置の上昇が目立った。

関税延期の発表を受けて、携帯端末のアップル(AAPL)や家電量販店のベストバイ(BBY)、アパレルのナイキ(NKE)が上昇。複合企業のゼネラル・エレクトリック(GE)は、カルプCEOが300万ドル相当の自社株買いを行い、堅調推移。決済サービスのペイパル(PYPL)は、一部アナリストによる投資判断引き上げを受け、上昇。中国電子商取引のJDドットコム(JD)は、決算内容が好感され、大幅上昇となった。

ゴールドマンサックスは、配当利回りの高い銘柄と低い銘柄のバリュエーションの差が過去40年間で最大付近で推移しており、高配当銘柄が割安との認識を示した。


[通貨オプション]


ドル・円オプション市場で変動率は低下した。リスク警戒感を受けたオプション買いが後退した。

リスクリバーサルでは円コールスプレッドが縮小。ドル・円下値をヘッジする目的の円コール買いが後退した。

■変動率
・1カ月物8.49%⇒7.81%(08年10/24=31.044%)
・3カ月物8.38%⇒7.95%(08年10/24=31.044%)
・6カ月物8.04%⇒7.73%(08年10/24=25.50%)
・1年物7.93%⇒7.71%(08年10/24=20.00%、21.25%=98年10月以来の高水準)

■リスクリバーサル(25デルタ円コール)
・1カ月物+1.90%⇒+1.60%(08年10/27=+10.90%)
・3カ月物+2.08%⇒+1.85%(08年10/27=+10.90%)
・6カ月物+2.12%⇒+1.92%(08年10/27=+10.71%)
・1年物+2.22%⇒+2.03%(8年10/27=+10.71%)


[経済指標]

・米・7月消費者物価指数(CPI):前年比+1.8%(予想:+1.7%、6月:+1.6%)
・米・7月消費者物価コア指数:前年比+2.2%(予想:+2.1%、6月:+2.1%)
・米・7月消費者物価指数:前月比+0.3%(予想:+0.3%、6月:+0.1%)
・米・7月消費者物価コア指数:前月比+0.3%(予想:+0.2%、6月:+0.3%)


[要人発言]

・トランプ米大統領
「中国は多くの米国産製品を購入する意向」「中国との対話は非常に生産的だった」「香港の状況は非常に困難、いずれ解決するだろう」「関税を先送りすることで、国民を支援」「中国の貿易協定合意にはいつも楽観的」「関税の先送り、消費への影響を回避」「多くの諸国が通貨を引き下げている」

・米通商代表部(USTR)
「対中輸入品3000億ドルの10%追加関税に関し、スマホ、ノートパソコン、ゲーム機などに対する関税発動を12月15日まで先送り」「健康、安全保障関連は制裁対象から除外」「それ以外は9月1日から発動へ」

・関係筋
「USTRのライトハイザー代表、ムニューシン米財務長官は中国の劉鶴副首相との電話会談に参加」


[東京市場終値-ニューヨーク市場終値]
・為替市場: (始値) (高値) (安値) (終値)
・ドル・円 105.21 106.98 105.07 106.74
・ユーロ・ドル 1.1192 1.1228 1.1170 1.1172
・ユーロ・円 117.75 119.59 117.72 119.25
・ドル・スイス 0.9707 0.9769 0.9660 0.9765
・ポンド・ドル 1.2060 1.2098 1.2049 1.2060
・株式市場:
・NYダウ 25888.88 26426.97 25833.25 26279.91
・ナスダック 7863.41 8065.24 7851.59 8016.36
・債券市場: (始値) (終値)
・米国債 2年物 1.584 1.669
・米国債10年物 1.654 1.705
・米国債30年物 2.144 2.164
・先物市場:
・NY金先物 1534.85 1535.70 1488.90 1514.1
・NY原油先物 54.63 57.47 54.39 57.10《KY》

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