歴史の偉人から学ぶ出世・キャリアアップ法 秀吉の部下掌握術「この上司、頼りないけど放っとけない」

2019年3月20日 21:09

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 「また資料の作成を忘れてる、しょうがないな……」。以前に勤めていた会社で、私は上司に対して、このような思いを抱いていたことを今でも覚えています。いわゆる「ダメ上司」、彼の下で働くためには、ときには代わりに資料まで作ってあげる、そんな細かい気配りが必要です。しかし、「よく覚えてたな、ありがとう」と言われた日には、照れくさいような、それでいて心を躍らすような、不思議な感覚を覚えたことも少なくありません。

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 上意下達の厳しい戦国時代にも、現代の上司と部下の関係に通じる様々な逸話が残っています。そのなかでも突出した部下掌握術を見せた人、それが豊臣秀吉です。まだ秀吉が織田信長の配下にあり、中国軍総指揮官として毛利輝元(もうり・てるもと)征伐に向かっていた頃のこと。中国地方に関する地理や文化に疎い秀吉にとって、当時もっとも信頼をおいていた家臣が、名軍師として采配を取る黒田官兵衛(くろだ・かんべえ)です。

 官兵衛は秀吉の部下として働くかたわら、その近くから彼の戦いぶりを観察します。「勝利の確信を得て勢いに駆る合戦はできても、のるかそるかの大博奕には踏み切れない、かたわらには常に軍師が必須――。『ダメ上司』」、それが官兵衛が秀吉に抱いた印象でした。しかし、官兵衛は同時に、「自分の弱点を恥じることなく部下の前でさらせる、そんな離れ業もできる」と評しています。

 仕事のできない課長、少し頼りない部長、どちらもマイナスイメージを浮かび上がらせますが、そのことがかえって自分の長所になることもあります。上司があえて下の者に弱みを見せることで、その部下たちは奮って彼を助けようとするでしょう。小柄で華奢な弱々しい見た目だったとされる秀吉ですが、「この上司は私たち部下が支えないとどうなるか分からない」と、多くの部下の心を惹きつけていたことは確かです。もしかしたら彼らも、秀吉の「大儀であった」という言葉を聞くたびに、恥ずかしくも嬉しい、そんな感覚を抱いていたのかもしれません。

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