【どう見るこの相場】「森を見ずに木を見る」を基本とする個別銘柄重視の積み上げスタンスが賢明

2019年1月15日 10:26

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 日経平均株価の週足が、6週間ぶりに前週末終値を上回って引けた。3連休前の11日である。大発会が452円安でスタートし、今年の亥年相場が、どうなることやらと不安が募り、「弱気相場入り」観測なども幅をきかせたが、ようやく下げ止まったかと期待させた。米国のダウ工業株30種平均(NYダウ)が、昨年12月の月間約4000ドル安のクラッシュ相場に対して、新年相場で約2200ドルも反発、半値戻しを達成したのと比較して、日経平均は、同じく約3400円安に対して約1200円の反発と3分の1戻しにとどまっていることにはやや物足りなさもあるが、贅沢は言っていられない。

 ただ昨年12月のクラッシュ相場を惹起した懸念材料は、新年に入って好転したかといえば必ずしもそうとはいえないようだ。米中貿易摩擦にしろ、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ政策にしろ、マーケットがトランプ大統領のツイートやパウエルFRB議長の発言を勝手読みしているフシが窺える。またまた「期待で買って現実で売る」展開にならないとも限らないのである。現に連休中の14日に発表された中国の貿易統計(12月)では対米輸出の落ち込みが目立ち、為替相場は、1ドル=107円~108円の円高水準を余儀なくされている。円高は、今後本格化する四半期決算発表に際して業績の不確定要因となる可能性が残る。また米国の「ねじれ議会」の影響で、政府機関の閉鎖も長引いている。

 となれば、ここは楽観にも悲観にも傾かず「森を見ずに木を見る」を基本とする個別銘柄重視の積み上げスタンスが賢明となるはずだ。新年相場では、そうした動きを示すシンボル株も出てきた。逆行高が目立った昨年12月に新規株式公開(IPO)された直近IPO株だ。昨年12月には18銘柄がIPOされ、このうち5銘柄が新年相場で上場来高値を更新した。自律制御システム研究所<6232>(東マ)は、昨年12月21日のIPO時に公開価格の3400円を下回って2830円で初値をつけるマイナスがあったが、新年相場ではストップ高を交えて3940円まで上値を伸ばした。印鑑スタンプなどのEC通販で元号改元に関連するAmidAホールディングス<7671>(東マ)、今年5月の10連休に関連する体験型オプショナルツアー専門のオンライン予約サイトを運営のベルトラ<7048>(東マ)などの材料含みの銘柄も、最高値を更新した。

 そこで当コラムではもう一つの「直近株」に注目した。昨年12月に東証第1部に市場変更された「直近1部昇格株」である。全部で11銘柄を数える。市場変更に際して新株式発行や立会外分売などのファイナンスを伴った「訳あり」株や、昇格記念増配を発表した銘柄、さらに材料含み株など多彩である。しかも株価水準は、一部を除いてほとんど昨年来安値水準に位置し、直近IPO株と異なって他市場からの市場変更のため株価の天井も高い。今月末には東証株価指数(TOPIX)に組み入れられ、TOPIX連動型のパッシブ運用ファンドの指数リプレイスの買い需要が発生することから、先取り買いしてリターンが期待できそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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