早稲アカ Research Memo(1):塾生数の増加と業務効率改善により2019年3月期は大幅増益へ

2018年12月12日 15:51

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記事提供元:フィスコ


*15:51JST 早稲アカ Research Memo(1):塾生数の増加と業務効率改善により2019年3月期は大幅増益へ
■要約

早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を直営で展開している。難関中学校や開成高校、早稲田大学及び慶應義塾大学(以下、早慶)附属高校等の合格者数で高い実績を誇る。また、子会社の(株)野田学園で、医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中高校生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」を運営している。2018年9月末の校舎数は連結ベースで162校、期中平均塾生数で3.7万人を超える。

1. 2019年3月期第2四半期累計業績
2019年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比9.0増の11,625百万円、経常利益が同52.6%増の648百万円となった。難関志望校への高い合格者実績を背景に、小学部を中心に期中平均塾生数が前年同期比10.3%増(集学舎除いたベースで同4.6%増)と順調に拡大し、1校舎当たり生徒数が増加したことに加えて、新基幹システムの稼働による業務効率の改善や広告宣伝手法の見直しを行ったことが大幅増益につながった。2018年1月から新規連結した集学舎の業績は売上高で356百万円、経常利益で約90百万円となり、のれん償却額56百万円を考慮しても増益に寄与した。校舎展開に関しては2018年6月に「早稲田アカデミー個別進学館」1校を直営校としたほか、2018年7月に「多読英語教室 English ENGINE」を1教室開設した。

2. 2019年3月期業績見通し
2019年3月期の連結業績は、売上高で前期比9.7%増の24,299百万円、経常利益で同52.4%増の1,686百万円と期初計画を据え置いている。第2四半期累計では経常利益で計画を6.7%上回ったが、例年、第4四半期の塾生募集シーズンに生徒数が変動する可能性もあるためだ。前提となる期中平均塾生数は前期比6.0%増※となり、ハードルとしてはやや高いものの、新規塾生数の増減に影響を与える難関校への合格者数が2019年春も前年度を上回る見込みとなっていること、足下の資料請求件数や見込み顧客数等が前年を上回るペースで推移していることなどから、計画は達成可能な範囲と見られる。下期の校舎展開としては2019年2月に早稲田アカデミー校舎を1校、移転リニューアルする予定になっている。

※比較対象となる前期の期中平均生徒数については、集学舎の生徒数(1,887人)を通年分として加算。


3. 中期経営計画達成に向けた取り組み
同社は中期経営計画で、2020年3月期に連結売上高242億円、経常利益21億円を目標としていたが、売上高については集学舎の子会社化もあって1年前倒しで達成できる見通し。経常利益についても、新基幹システムの導入による業務効率の向上が一段と進むことから、目標達成は射程圏内と見られる。また、成長基盤を構築するうえで重要なカギを握る人材採用についても強化しており、2019年3月期はその成果も出始めている。同社は従来、難関私立中学や早慶付属高校を志望する生徒の獲得を中心に業績を拡大してきたが、今後はこれら戦略に加えて、首都圏での難関公立高校、難関大学を志望する生徒を獲得していくことで、成長を加速していく方針となっている。生徒数増加の受け皿となる校舎については2024年以降、積極展開していく予定にしており、その基盤となる講師スタッフの拡充にも注力していく方針だ。

4. 株主還元策
株主還元策としては安定配当を基本としつつも、収益状況に応じて配当性向も勘案の上、配当額の向上を検討していく考えで、2019年3月期の1株当たり配当予想は前期比2.0円増配の35.0円と2期連続の増配を予定している。また、株主優待として3月末時点で100株以上の保有株主を対象に、継続保有期間に応じてQUOカード(1,000円または2,000円分)を贈呈している。

■Key Points
・小学部を中心に生徒数が順調に増加、業務効率の改善効果も加わって、2019年3月期第2四半期累計業績は大幅増益を達成
・2019年3月期業績は期初計画を据え置くも、利益ベースでは上振れ余地が大きい
・中期計画目標である2020年3月期の売上高242億円は前倒しで達成見込み、経常利益21億円も射程圏内に

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SF》

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