会員制の高級食器シェアリングサービス 現代人のニーズを満たせるか

2018年10月29日 20:13

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 アリベは、会員制の高級食器シェアリングサービス「カリーニョ」に乗り出す。1,000種類以上の高級食器から、食器のプロがテーマに合わせコーディネートしたセットを、毎月好みに応じて選び使用できるサービス。2019年1月のリリースを目指し、現在クラウドファンディングで資金を集めている。

 料理教室・洋食器講座の主催者、プロの料理家、テーブルコーディネーターなどの「食器コンシェルジュ」が、食器・グラス・カトラリー・テーブルクロスなどを数種類組み合わせ、用途や特徴ごとにラインナップする。カリーニョ会員は、専用WEBサイトにログインし、テーマごとに用意された食器セットから、使いたい内容を選ぶ仕組み。注文すると1〜2日でセットが届き、1カ月間使用すると、返却通知メールが送信される。返却して新しい食器を注文することも、そのまま継続して使用することも可能。届いた食器セットがもしイメージと異なった場合は、月1回までカリーニョが送料を負担し、交換に応じる。

 性質上、衛生さが最重要ポイントとなるが、返却された食器は、緑茶から抽出した高純度カテキン配合の77度高純度アルコールにより、1つ1つ丁寧に殺菌消毒し、新品同様にする。また、食器返却時に利用者が緩衝材でくるむ手間を少しでも軽減できるよう、梱包スタイルを工夫中。さらに、割れることのリスクより「使ってもらうこと」を優先し、万が一破損した場合でも、実質価格に関わらず最高1万円の損害費用で大丈夫という仕組みを設けた。

 高級食器を欲しくても実現に移せないという声は多い。使いたい食器を見つけても、値段が高い。食器を買っても、置くスペースがない。高級食器を割ってしまったら、もったいない・・など、理由は多岐にわたる。それならば買って所有する前に、試しに使えて、使いたいときに使えるようなサービスを提供したい、といった動機から考案された。

 一般家庭において、陶磁器を含む食器類の購買額は減少を続けている。総務省統計局『家計調査年報』によると、1996年の3,865円をピークに減少し続け、2011年には1,302円まで落ち込んだ。しかし反面、経済産業省が2006年に実施した『生活者意識調査』では、自分にこだわりのあるモノについて、76.1%以上が「多少高くても購入する」と回答。必要かそうでないかを厳しく分別し、こだわりや価値を認められるモノには支出を惜しまないという現代人のニーズに着眼したシステムといえる。

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