AOITYOHold Research Memo(6):「ソリューション事業」及び「海外事業」が中長期的な成長ドライバー

2018年10月16日 15:06

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記事提供元:フィスコ


*15:06JST AOITYOHold Research Memo(6):「ソリューション事業」及び「海外事業」が中長期的な成長ドライバー
■AOI TYO Holdings<3975>の成長戦略

1. 経営統合(2017年1月)に至った背景
インターネットを中心としたメディア(媒体)の多様化や、スマートフォンやタブレット端末などに代表されるデバイスの多様化に加え、通信速度やデータ解析、VRやARなどのテクノロジーの進化により広告業界を取り巻く環境が大きく急激に変化しているなかで、これまでのテレビCM 制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造の変化を伴いながらも拡大していくものと予想されている。

そのような環境認識のもと、業界をリードする新たなグループを形成し、経営資源の結集及び有効活用により、「より大きなシェア」、「より強い交渉力」、「より強靭な資本」を保持するとともに、競争力のある先進的なビジネスモデルを構築していくことが中長期的な成長のために必要であると判断したものである。

2. 中長期的な成長イメージ
同社は、中長期的な成長イメージとして、「ソリューション事業(それに付随する制作事業を含む)」と「海外事業(中国・東南アジア)」が業績の伸びをけん引する方向性を描いている。一方、これまでの主力事業であった「広告映像制作事業」は、採算性重視の徹底及び効率化を図り、プリントレス化に対応した筋肉質な組織づくりを進めながら着実な成長を目指す方針である。また、2021年12月期の目標として、ROEを12%以上、EBITDAを80億円(2018年12月期のEBITDA予想5,230百万円を基準とした3年間の平均成長率17.0%)と掲げている。

EBITDAを目標としているのは、利益成長を重視していることや、M&Aを視野に入れている(のれん償却の影響を排除)ことが背景として考えられる。株主資本コストを上回る収益率が期待できるプロジェクトに積極投資することでEBITDAの成長を実現するとともに、株主還元(配当性向)の向上と資本効率(ROE)の改善を図る構えである。

(1) ソリューション事業
まずは、これまで取り組んできた広告主直接取引において、新規/既存広告主からの受注拡大を図る。また、VR/AR/MR、IoT、AIなどの最新テクノロジーも取り入れながらコンテンツの開発・制作を行うことによって、生活者に新しい体験を提供するとともに、そこで得られた新たなデータや感情データを含むナレッジを蓄積し、統合マーケティング事業(ブランド戦略立案から効果測定・分析までを統合したソリューション提供)へと展開する。さらには、データ活用による高付加価値事業(DMP活用や戦略コンサルティング領域など)への進化も視野に入れている。すなわち、これまでの広告映像制作事業による経験や知見、ネットワークなどを生かしつつ、知識集約型ビジネスへシフトし、ソリューション提案型のビジネスモデルを醸成する。また、その実現に向けては、外部人材の活用を含めた体制・人材強化(コミュニケーションデザイナーやデータサイエンティストなど)に注力するとともに、データの収集・蓄積、外部データとの融合のほか、効果測定・分析を行うスキーム及びITサービスの開発・構築に向けて積極投資を行っていく方針である。

(2) 海外事業
引き続き、同社が注力してきた中国及び東南アジアでの拠点展開を強化する方針である。特に、東南アジアにおいては、M&Aによる制作機能の強化や事業拡大を目指す。また、人的ネットワーク、リソースの相互活用を行う。

弊社では、これまでの主力であったテレビCM制作(広告映像制作事業)における需要拡大に期待ができないなかで、プリントレス化による収益性の低下や新しい成長領域への先行投資負担などを勘案すると、同社のEBITDA目標(80億円)は決して簡単な水準ではないと評価している。ただ、同社がソリューション型ビジネスモデルの推進により拡大を図る「体験設計」の事業領域は、ポテンシャルの大きな市場であるうえに、同社が培ってきた映像制作における経験や知見が差別化要因として生かせることや、同社の信用力(ブランド力)及び財務力が大きなアドバンテージ(特に、ナショナルクライアントとの取引拡大やM&A を含む投資戦略など)となる可能性が高い。足元では、実行利益率の改善や将来を見据えた取り組みなどに進展がみられるが、今後も経営統合や成長領域への積極投資が具体的にどのような成果を生み出していくのか、特に、新たな価値創造の部分(VRコンテンツやデータ活用など)に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)《MH》

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