【NY2019春夏 ハイライト4】NYファッションウィーク閉幕 広がる「旅」や「さすらい」のムード

2018年9月13日 23:07

印刷

記事提供元:アパレルウェブ

「アリスアンドオリビア」はブッキングドットコムとコラボレーションしてプレゼンテーションを開催
 12日に幕を閉じたファッションウィーク。今回は天候に恵まれず、途中で雨が降り、「3.1フィリップリム」や「ロダルテ」といった屋外でのランウェイを打ったブランドにとっては、主催側にも出席者側にも困難がつきまとった。テーマとして今季多かったものは「旅」や「さすらい」で、どこか違うところに出かけるような気持ちが次の春夏のムードになりそうだ。
 ここでは後半から、「マイケル・コース」と「アナ スイ」という老舗ブランド、そして「ラグ&ボーン」、「アリスアンドオリヴィア」というNYらしいブランドの展示会を紹介しよう。
アナ スイ(ANNA SUI)


 「アナ スイ」のランウェイには異国情緒溢れるグランドバザーが出現した。置いてあるものはすべて実際の商品で、ショーが始まる前のひと時は、参加者たちがショッピングを楽しんだ。そしてショーの始まりも、モデルたちが三々五々、バザーを見てまわっているような設定にしてあり、そこからジジ・ハディッドがファーストルックとしてランウェイを闊歩。今季のテーマは「ワンダーラスト」(放浪癖、旅心といった意味)だ。
 どこに行く旅でもフリーマーケットを訪れるのが好きだというアナ・スイ。ルックもエキゾチックなプリントが多く、カフタンやキモノなど異国のアイテムを縦横無尽に組みあわせて見せる。きらきらとしたラメの刺繍を施したアイテムが多く、ジャカード、サテンなどの光沢ある素材が支配的だ。
 ビキニの上に透け感あるメッシュのベイビードールを重ねたり、透け感あるイリディーセントのジャケットやダスターコートを羽織ったりするスタイリングを多く提案して、ふんわりとエアリーな雰囲気を盛りあげている。そこにジャガード織りの「ダッド・ベスト」(お父さん風ベスト)をスタイリングして、アナスイらしいキッチュな世界を造り上げる。カラーパレットはコーラル、エメラルド、アクアブルー、モーヴなど、パラダイスを彷彿させる色彩が並ぶ。
 客席には、フランシス・フォード・コッポラとソフィア・コッポラの姿も見られた。「アナ スイ」らしい非日常感のあるステージとなった。
アリスアンドオリビア(alice+olivia)


 ステイシー・ベンデットが手がける「アリスアンドオリビア」はプレゼンテーション形式で、2019春夏コレクションを発表した。今回はトーキョーやパリ、マラケッシュといった旅先を示して、そこからインスピレーションを得たルックを並べた。
 たとえばトーキョーであれば、背景は招き猫、そしてルックはパステルを基調としたポップなスタイルだ。パリであれば、フランスの伝統的意匠をちりばめたルックとなり、プロバンスでは白地にブルーのモチーフで南仏のイメージを醸し出す。マラケシュでは中近東のモチーフを用い、ワンダーランドでは目の覚めるようなネオンイエローのアイテムを、そしてイタリアのポジターノでは赤い薔薇のプリントを駆使した。そのすべてにおいて「アリスアンドオリビア」らしいデコラティブで色彩豊かな世界が展開された。今季は異なる生地をミックス&マッチさせる手法が目につき、丈はマキシとミニを併用、そしてハイウエストのパンツが主流となった。
 またこのプレゼンテーションでは、オンライン旅行サイトの「ブッキングドットコム(Booking.com)」がコラボしていたのも面白い試みだった。
ラグ&ボーン(rag & bone)


 ラグ&ボーンは2019春夏の新作を展示会で披露した。デリバリーの早いアイテムではマルーンカラー(えんじ色)のカモフラージュ柄ジャケットやトレンチコートの色が目を引く。とろりとした質感を生かしたトラックパンツとジャケットのセットアップスーツやリラックスしたシルエットのサマードレスは、いかにも「ラグ&ボーン」らしい。“ラグアンドボーン”とカタカナでロゴが入ったアイテムは日本ではユーモラスに受け取られそうだ。
 今季はボディスーツになったTシャツも出していて、ハイライズのパンツに合った着こなしができる。ジーンズはスーパーワイドや、裾を不均等にカットしたスタイルなどバラエティが豊富になった。
 ショー形式ではなくなった「ラグ&ボーン」だが、今回はフィルムを上映して、新しい表現法を披露してみせた。
「ラグ&ボーン」2019春夏コレクション
マイケル・コース(MICHAEL KORS)


 最終日である12日に、「マイケル・コース」はサウスシーポートでランウェイを打った。会場にはアーティストのクリスティーナ・ジンペルの大きな絵が何点も飾られていて、明るい色調を添えている。
 今季のテーマは「グローバル・ゲッタウェイ(世界旅行)」。ファーストルックは、イエローの花柄のシャツと、ミディ丈のフラミンゴ色の花柄スカート、そして花柄の帽子という鮮やかな色彩。続くルックもライム、ウォーターメロン、アクア、ターコイズといった鮮やかな色彩パレットが展開された。
 フラワープリント、ボーダー、格子柄といった明快なパターンが支配的で、輝きを放つブロケードも今季のシグネチャーになっていた。花が織り出されたゴールドブロケードのジャケットの下に着ているのが、サーフTシャツという組み合わせであったり、コットンとカシミア混紡のサーフ・フーディにシルクシフォンのスカートを組みあわせたりして、ラグジュリアスとカジュアルをミックスさせるのが、「マイケル・コース」らしい。
 ラッフルドレスやギュイピュールのドレスなどフェミニンなスタイルを打ち出すと同時に、フリンジ、スーパーベルボトムのパンツなどの捻りもいれる。バッグは、クリスティーナ・ジンペルの絵があしらわれたトートが今季の目玉だろう。
 明るく心が躍るような色彩で、華やいだジェットセッター、ラグジュリアスなアメリカンスポーウェアの世界を披露した。
 
取材・文:黒部エリ

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事