3Dマトリック Research Memo(8):2021年4月期には製品売上だけで売上高50億円超えを目指す

2018年7月23日 09:01

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記事提供元:フィスコ


*09:01JST 3Dマトリック Research Memo(8):2021年4月期には製品売上だけで売上高50億円超えを目指す
■中期経営計画

1. 中期経営計画の概要
スリー・ディー・マトリックス<7777>は毎年、3ヶ年の中期経営計画を発表している。最終年度となる2021年4月期の業績目標値は、事業収益で5,724~8,374百万円、営業利益で1,796~5,218百万円を目標に掲げた。レンジ形式としているのは、ライセンス契約一時金・マイルストーン収入の有無や研究開発費の変動要因を考慮したものとなっている。1年前の中期経営計画と比較すると、ほぼ1年先送りされた経営数値目標となっている。これは欧州での販売の進捗が半年程度遅れ気味となっていること、関連して独占販売ライセンス契約の締結も先送りとなっていることによる。

2021年4月期における事業収益の内訳を見ると、製品売上高(止血材、後出血予防材、癒着防止材)は5,724百万円と大きく伸ばす計画となっており、2021年4月期にはライセンス契約一時金がなくても営業利益段階で黒字化することを目指している。現在の売上規模からすると目標のハードルは高いが、売上高は着実に増加しており、後出血予防材や癒着防止材等へと適用領域の拡大が見込まれること、欧州での止血材の独占ライセンス契約締結がなされていることを前提とすれば、目標を達成する可能性もあると思われる。

「PuraStat®」については止血効果だけでなく、後出血予防、癒着防止、創傷治癒といった様々な機能を持ち合わせていることが特徴で、高い安全性に加えて多機能な医療材料としての認知度が向上しつつある。オーストラリアや欧州市場に続いて今後は米国や日本、中国市場でも市場が立ち上がってくるものと予想される。後出血予防材は欧州で2019年4月期から、癒着防止材は米国で2020年4月期からそれぞれ販売が開始される可能性があり、その動向が注目される。

なお、研究開発については優先度の高いテーマに絞り込み、資金調達の状況を見ながら進めていく方針となっている。今後3年間の計画としては止血材の治験費用(日本、米国)、次世代止血材の開発費用(欧州)、粘膜隆起材の開発費用(日、欧)、歯槽骨再建材の治験費用(米国)及び関連費用を積み上げている。また、販管費については今後の事業計画に即して見積金額を算出しており、人員計画については主に欧州を中心として事業規模・エリアの拡大とともに増員していく計画となっている。

2. 2020年4月期の業績前提
2020年4月期の事業収益は1,691~4,443百万円、営業利益は1,190百万円の損失から2,003百万円の利益を目標としている。製品売上高1,691百万円を地域別で見ると、欧州で1,045百万円、アジア・オセアニアで412百万円、中南米・カナダで33百万円、米国で200百万円となっている。

欧州では各販売代理店による売上予測値や発注概算量を参考に販売計画を立てている。増収要因としては、ターゲット医療施設数が期初段階の250施設(2018年4月時点で200施設)から年間を通じて1.5倍増となる375施設に増加し、また、1医療施設当たりの販売額も増加することを前提としている。アジア・オセアニアについては、主にオーストラリアでの販売増加を見込んでいるほか、韓国での製品販売を期央より開始することを前提としている。中南米・カナダでは、主にブラジルを中心とした販売増加を見込んでいる。カナダについては2019年4月期中にCEマーキングの登録承認及び製品販売を予定しているが、承認時期に変動要素があるため計画には織り込んでいない。米国については、癒着防止材の売上げ貢献を見込んでいる。

契約一時金については、米国での止血材の販売ライセンス契約一時金で2,202百万円、歯槽骨再建材の販売ライセンス契約一時金で550百万円を見込んでいる。このうち、止血材の販売ライセンス契約については、現在、欧州市場で契約交渉を行っている候補先企業3社のうち2社が米国企業であり、これら企業が2019年4月期に契約先として決まれば米国市場での契約も連動して進むと考えている。

3. 2021年4月期の業績前提
2021年4月期の事業収益は5,724~8,374百万円、営業利益は1,796~5,218百万円を目標としている。製品売上高5,724百万円の地域別内訳は、欧州で4,088百万円、アジア・オセアニアで861百万円、中南米・カナダで66百万円、米国で500百万円、日本で208百万円となっている。

欧州では各販売代理店による売上予測値や発注概算量を参考に販売計画を立てている。増収要因は、ターゲット医療施設数を期初段階の375施設から年間を通じて2倍の750施設まで拡大し、また、1医療施設当たりの販売額も増加していくことを前提としている。アジア・オセアニアでは、主にオーストラリアでの販売増加を見込んでいるほか、韓国での年度を通じで売上げ貢献することを見込んでいる。中南米・カナダでは、主にブラジルを中心とした販売増加を見込んでおり、カナダについては販売計画に織込んでいない。また、米国については癒着防止材の売上げが拡大し、日本では止血材の販売承認取得による初期ロット出荷分が売上計上される見込みとなっている。

契約一時金については、欧米市場における癒着防止材の販売ライセンス契約一時金で2,000百万円を見込んでいる。また、日本では止血材の販売承認取得に伴うマイルストーン収入で500百万円、その他パイプラインの提携による契約一時金で150百万円を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《MH》

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