三菱ケミカルHD、ポートフォリオの最適化で高成長・高収益へ挑む

2018年7月13日 11:41

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 三菱ケミカルホールディングス連結子会社の大陽日酸は7月5日、産業ガス世界第3位米プラクスエア社が世界第2位独リンデ社と合併するために切り離す欧州事業の一部を、約6,400億円で買収すると発表した。

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 欧州の産業ガス市場は北米に次ぐ規模であり、長距離輸送が難しいというガス事業の特性上、競争環境も安定している。収益性の高い事業を一定の規模・ネットワーク(製造拠点等)と共に取得することができることになり、2017年12月期のベースで売上高約1,640億円、利払い前・税引き前利益約340億円が見込める。

 三菱ケミカルホールディングスは、2005年三菱化学と三菱ウエルファーマが共同で持株会社を設立したことに始まる。

 その後統合・再編などを経て、現在では三菱化学、三菱樹脂、三菱レーヨンを統合した三菱ケミカル、田辺製薬と合併して出来た田辺三菱製薬、グループのヘルスケアソリューション関連事業を統合した生命科学インスティテュート、大陽日酸の主要4子会社中心に関係会社708社を擁し、多様な事業領域を抱える巨大グループとなった三菱ケミカルホールディングスの動きを見ていこう。

■前期(2018年3月期)実績と今期(2019年3月期)見通し

 前期売上収益は3兆7,244億円(前年比110%)で、コア営業利益は前年よりも730億円増の3,805億円(同124%)であった。

 コア営業利益とは、事業撤退や縮小から生じる非経常的な損益を除いて算出した経常的な営業利益である。

 セグメント別に見たコア営業利益増加の主な要因としては、世界トップシェアを有するMMAモノマー市況の堅調と炭素事業の好調によりケミカルズ事業で853億円、米国と豪州での事業買収効果により産業ガス事業54億円の増収効果に対し、新薬ラジカヴァの米国展開費用と研究開発費の増加によるヘルスケア事業で172億円の減益によるものである。

 今期見通しは、売上収益3兆9,300億円(同106%)で、コア営業利益3,550億円(同93%)を見込んでいる。

■中期計画で高成長・高収益を目指す

 2017年~2021年の5年計画で、拡大した事業ポートフォリオを成長性、収益性、競争環境、事業特性などで、最適化して高成長・高収益を目指す下記の戦略を推進する。

 1.重点投資による成長事業の育成と基盤事業の強化
 ・成長事業: 高機能ポリマー、高機能化学、高機能フィルム、高機能成形材料。
 ・基盤事業: 情報とディスプレイ、石化、炭素、MMA、産業ガス。

 2.次世代事業の早期収益化
 ・ヘルスケアソリューション: 再生医療、診断支援システム、植物由来ワクチン。
 ・バイオソリューション: 植物工場の高機能野菜栽培、植物由来の複合体、腸内細菌活用。
 ・ガスソリューション: 人口炭酸泉、細胞凍結保存、水素ステーション、ガスの医薬応用。
 ・新エネルギーと高機能材料: 有機太陽電池、ケイ素材料。
 ・ビッグデータとICT利用ソリューション: 全社事業展開に積極的に利活用。

 3.グローバル展開で前期42%の海外比率を50%へ
 アセアン、中国市場で自動車、MMA、情報電子などを中心に積極展開し、欧米市場でメディカル、航空機部品、自動車、産業ガスなどへ展開する。

 事業ポートフォリオの最適化により、世界で高収益・高成長を目指す三菱ケミカルホールディングスの動きを見守りたい。(市浩只義)

関連キーワード田辺三菱製薬三菱ケミカル

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