UTグループ Research Memo(4):8期連続の増収・増益を記録、売上高・営業利益とも過去最高値を更新

2018年6月21日 16:12

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記事提供元:フィスコ


*16:12JST UTグループ Research Memo(4):8期連続の増収・増益を記録、売上高・営業利益とも過去最高値を更新
■業績動向

1. 2018年3月期の業績概要
売上高は81,751百万円(前期比42.0%増)、営業利益は5,197百万円(同52.2%増)、経常利益は5,222百万円(同56.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,534百万円(同73.9%増)であった。2ケタ増収・増益となり、8期連続して増収・増益を確保、売上高・営業利益とも前期に続き過去最高値を更新した。計画値を大きく上振れして好業績を収めた要因は、1)前期に続き、2015年9月に施行された改正労働者派遣法がUTグループ<2146>にとってプラス要因として働いている、2)新型車、次世代スマートフォンなどの同社の主力顧客業種における需要が旺盛である、3)高単価、大ロット、高採算案件を選別受注している、ことなどである。期末の技術職社員数は過去最高の18,569人(前期比3,081人増。内訳はマニュファクチャリング14,781人、ソリューション2,008人、エンジニアリング1,780人)。全国的に月間1,000人の採用基盤を確立したことに加えて、配属時期と人数を確約するコミット受注で好条件の案件を選別・獲得し、好調に推移した。

売上高の増加は、1)引き続き高い人材需要により全セグメントで増収となったこと、2)マニュファクチャリング事業がコミット受注により大幅増収となったこと、などが要因として挙げられる。売上拡大に伴い売上総利益は前期比39.7%増の16,010百万円となり、売上総利益率は前期とほぼ同等の19.6%と高いレベルを維持した。一方、 販管費は同34.4%増の10,813百万円と増大した。これは、積極的な採用活動を行ったことにより採用費が大幅に増加したことと、事業拡大に伴いスタッフ部門の間接費が増加したことなどが要因。ただし、売上高構成比では前期比0.8ポイントの改善となっている。 これらの結果、営業利益は2ケタの増益を確保し、営業利益率は前期の5.9%から6.4%へ0.5ポイント向上した。

また、会社計画(売上高70,000百万円、営業利益4,200百万円、経常利益4,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,800百万円)対比では、売上高、各利益のすべてが計画を大幅に上回った。これは、マニュファクチャリング事業で、想定以上に改正労働者派遣法が追い風となり、スマートフォン・車載用電子部品・自動車向けが順調に推移したことに加えて、エンジニアリング事業が人材不足を背景に未経験者の需要が順調に進んだこと、などが上振れ要因として働いたことによる。

事業別の状況は以下のとおり。

(1) マニュファクチャリング事業
マニュファクチャリング事業の売上高は前期比45.9%増の60,822百万円、営業利益は同66.4%増の4,324百万円と大幅な増収・営業増益となった。半導体・電子部品分野を中心に好調な需要が継続、完成車メーカーへの参入により自動車分野での受注も増加した。第4四半期に一部顧客企業の生産調整の影響があったものの、通期での大幅増収増益を達成した。月間1,000人の採用体制を構築し、順調に技術職社員数が増加、期末の技術職社員数は14,781人と前期比18.0%増であった。分野別の売上高動向を見ると、半導体・電子部品分野が前期比45.8%増と大きく伸び売上高構成比が拡大した。さらに、好採算案件の選別とインハウスシェアの上昇を目指した営業活動の成果が結実したことなどにより、セグメント利益率は前期の6.2%から7.1%へ上昇した。

(2) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高は前期比25.3%増の10,272百万円、営業利益は同2.4%増の721百万円と増収・営業増益となった。大手メーカーへのソリューション提案による取引拡大により売上高が増加した。一部顧客企業での第4四半期に新規立ち上げに伴う先行費用の発生により営業利益率は7.0%と低下(前期8.6%)したものの、営業増益は確保した。期末の技術職社員数は2,008人と前期比25.6%増であった。

(3) エンジニアリング事業
エンジニアリング事業の売上高は前期比38.6%増の10,655百万円、営業利益は同142.1%増の238百万円と大幅増収・営業増益となった。コミット受注による大人数派遣を開始したこと、研修施設※1の本格稼働により未経験からの育成が加速したこと、営業管理体制の見直しにより収益性を改善したこと、などが要因。分野別では、設計技術者分野は半導体製造装置メーカーへの大人数派遣を開始し大幅に増加、ソフトウェア開発技術者分野もM&A効果もあり大幅に増加した。技術職社員数は、One UT(グループ内キャリアチェンジ)※2による社員数の増加も手伝い、前期末に比べ30.4%増加し1,780人となった。

※1 UT Advanced Career Center:現場で即戦力となるエンジニアを育成し、社員のキャリア形成を支援するための施設。
※2 UTグループが一体となって社員のキャリアアップを支援し、新たなチャレンジを支援する独自の教育プログラム。年齢や職務経験を問わず、誰もがエントリー可能で、働きながら専門知識やスキルを学ぶことができる。 現在「建設エンジニア」と「設計開発エンジニア」の2つのコースを開講中。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)《MH》

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