USENNEX Research Memo(2):有線放送を祖業に多角化、そして持株会社化

2018年5月17日 16:02

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記事提供元:フィスコ


*16:02JST USENNEX Research Memo(2):有線放送を祖業に多角化、そして持株会社化
■会社概要

1. 会社概要
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は持株会社で、祖業の音楽配信サービスのほか、定額制映像配信サービス、ブロードバンドサービス、店舗・施設運営のための支援ツールやソリューションを、子会社を通じて提供している。事業セグメントは、個人向けデジタルコンテンツ配信サービスを提供する「コンテンツプラットフォーム事業」、通信事業者が提供するインターネットサービスなどの代理店販売や個人向けモバイル通信サービス、固定ブロードバンド回線サービスを提供する「コミュニケーションネットワーク事業」、飲食店など業務店向けBGMサービスを中心とした「音楽配信事業」、医療機関やホテルなどに自動精算機やフロント管理システムを提供する「業務用システム事業」、オフィス向け通信回線を提供する「ICT事業」及び、新規事業などの「その他事業」の6つに分けられる。

主力子会社は、音楽配信サービスのUSEN、定額制映像配信サービスのU-NEXT、業務用システム事業のアルメックスである。USENは主に業務店向けに有料音楽放送「USEN440」等を提供しており、有料音楽放送市場では断然のトップ企業である。一般家庭向け音楽配信「music AirBee!」や通信衛星を用いた衛星一般放送「SOUND PLANET」も行っている。U-NEXTは、マルチデバイス(専用端末やパソコン、テレビ、モバイル端末など)向けの映像配信を行っており、コンテンツの優位性を背景に急拡大中である。アルメックスは、医療機関やレジャー/ビジネスホテルなどに向けて自動精算機や管理システムなどトータルソリューションを提供、当該マーケットにおける自動精算機ではトップシェアを誇る。その他の子会社は、主力子会社の周辺領域を含めて事業展開している。


有線放送を核にデジタル展開
2. 沿革
USENは、宇野元忠(うのもとただ)氏が1961年に創業、大阪有線放送社を設立し、その後全国を網羅する有線放送網を構築した。1998年に宇野康秀(うのやすひで)氏が社長に就任すると、有線放送を核にデジタル化を推進し、自社インフラを利用したブロードバンドサービスや、動画配信・電子書籍などコンテンツ提供サービス、店舗支援サービスなどへと多角化を推し進めた。2009年2月、USENの子会社であった(株)ユーズマーケティングから新設分割によって設立された(株) U'sブロードコミュニケーションズ(現U-NEXT)は、ブロードバンド事業を展開、2010年12月にUSENから会社分割によってテレビ向け有料映像配信サービス事業「U-NEXT(ユーネクスト)」と個人向け光回線などの販売代理店事業を承継した。2017年12月、両社が保有する顧客基盤や販売チャネルなどグループ企業としての強みをより一層生かすため、USENとU-NEXTは再統合することになった。


U-NEXT×USEN=USEN-NEXT HOLDINGS
3. 経営統合と持株会社化
同社は2017年12月1日にU-NEXTとUSENが経営統合した上で持株会社化された。統合の目的は、音楽や映像コンテンツ、ネットワークインフラ、顧客基盤といった、グループ企業がそれぞれに持つ強みをより高いレベルで相互利用し、各社の販売チャネルの連携を行うことで、各社主力商品のクロスセルによるグループシナジーを創出していくことである。加えて、IoTやAIなど次世代の技術に対応できる新たな企業グループとして、機動的な成長戦略を実現していくことにある。また、各社の重複コストの集約によるオペレーション効率の向上も図る計画である。

同社は成長性の観点から、音楽配信事業を安定高収益事業に、業務用システム事業及びICT/通信事業、集客支援事業を安定成長事業に、映像配信事業及びエネルギー事業、店舗向けIoT事業を高成長事業に位置付けている。安定高収益事業で得たキャッシュを高成長事業に振り向けることも、統合の大きな目的となっている。例えば、音楽配信サービスの厚い顧客資産に対し、従来の直販に加えテレマーケティングや代理店などを積極的に活用し、一方で通信回線や店舗向けソリューションの販売も強化して、顧客当たりの売上高の向上を図るという考え方である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《TN》

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