欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、英中銀会合後のポンドの値動きにも警戒

2018年3月22日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、英中銀会合後のポンドの値動きにも警戒
22日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を予想したい。米利上げペース加速観測の後退により、ドル売り基調が続く見通し。また、英中銀の5月利上げ観測が広がる可能性からポンド買いが強まる影響で、ドルは下押しされやすい地合いとなりそうだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は20-21日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り政策金利の引き上げを決定。しかし、その後のパウエル議長の記者会見などから今年の利上げ回数は3回で変更なしとの見方が広がり、4回へのペース加速を予想した市場参加者の失望売りを誘発した。その流れは本日アジア市場でも続き、さらに欧州市場で消化される見通し。

また、トランプ米大統領は日本時間23日未明にも、対中貿易で知的財産権の侵害を理由とし、輸入関税の引き上げや中国企業による対米投資の制限に関する措置を発表する予定。また、鉄鋼・アルミ製品の輸入制限も正式に発動するとみられ、保護主義的な通商政策への傾倒がドル売り・円買いを支援する材料となりそうだ。

一方、英中銀は21-22日の金融政策委員会(MPC)での討議を踏まえ、政策金利(0.50%)の据え置きを決定する公算。ただ、前日発表された11-1月の週平均賃金が予想を上回る堅調な内容となったことから、市場では英中銀の5月利上げ観測が高まっており、MPC終了後に公表される議事要旨で一部利上げ主張がみられれば、ポンド買いに振れるだろう。

足元では欧州中央銀行(ECB)の出口戦略への思惑も高まっており、ユーロ・ドルやポンド・ドルが強含みとなる影響で、ドル・円にはドル売り圧力がかかりやすくなる見通し。加えて、27日の佐川前国税庁長官の国会での証人喚問が決定し、財務省の文書書き換え問題による日本の政治情勢の不透明感で円買いに振れやすく、来週にかけて心理的節目の105円を維持できるかが焦点となりそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:30 独・3月製造業PMI速報値(予想:59.8、2月:60.6)
・17:30 独・3月サービス業PMI速報値(予想:55.0、2月:55.3)
・17:30 独・3月総合PMI速報値(予想:57.0、2月:57.6)
・18:00 独・3月IFO企業景況感指数(予想:114.6、2月:115.4)
・18:00 ユーロ圏・3月製造業PMI速報値(予想:58.1、2月:58.6)
・18:00 ユーロ圏・3月サービス業PMI速報値(予想:56.0、2月:56.2)
・18:00 ユーロ圏・3月総合PMI速報値(予想:56.8、2月:57.1)
・18:00 欧州中央銀行(ECB)経済報告
・18:30 英・2月小売売上高(自動車燃料含む)(前月比予想:+0.4%、1月:+0.1%)
・21:00 英中銀金融政策委員会(政策金利は0.50%に据え置き予想)
・21:00 英中銀金融政策委員会の議事要旨
・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:22.5万件、前回:22.6万件)
・22:00 米・1月FHFA住宅価格指数(前月比予想:+0.4%、12月:+0.3%)
・22:45 米・3月製造業PMI速報値(予想:55.5、2月:55.3)
・22:45 米・3月サービス業PMI速報値(予想:56.0、2月:55.9)
・22:45 米・3月総合PMI速報値(2月:55.8)
・23:00 米・2月景気先行指数(前月比予想:+0.5%、1月:+1.0%)
・EU首脳会議(23日まで)《NH》

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