アフリカの砂漠にごみをまいて農地をつくる日本人

2018年3月5日 23:10

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記事提供元:スラド

masakun曰く、 西アフリカにある最貧国ニジェールで都市から出るゴミを集めて砂漠にまいて農地をつくる日本人がいるという。その人物は京都大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の大山修一准教授で、彼は2000年から首都近郊の村でフィールドワークを続けている(朝日新聞)。

 大山准教授の研究については国際協力機構ニジェール支所便り2017年10月号の記事が詳しいが、首都ニアメから出る生活ごみを砂漠に建設したサイトに運び込んでまくことにより、ゴミに含まれる有機物がシロアリのエサとなる。またゴミが雨水を含むことにより、地中にシロアリのコロニーが作られ、そのトンネルを通じて地中に雨水が浸透するようになる。強風で起きる砂嵐で地表面の砂が飛ばされることで砂漠化が進行するが、ゴミをまくことで飛砂を受け止め砂が堆積する効果もあるという。

 なにより重要なのは都市ゴミの中に含まれている、都市生活者が利用した作物や有用植物の種子。あるサイトでは1年目の雨期に作物のトウジンビエ、2年目の雨期にはマメ科の植物が生育したが、雨期になるまでどんな植物が芽を出すのか分からないのがこの緑化方法の面白いところだ。なお草本は毎年すべて刈り取られるが、樹木はそのまま残されるので、5年くらいで人間の食用や家畜の飼料となる叢林ができあがるという。

 ニジェールでは雨期に作物の食害により農耕民と放牧民の武力衝突が頻発するが、サイトをフェンスで仕切りその中で家畜を育てるようにすることで、衝突を回避するのと、家畜の反芻や排せつによってアカシア属やタマリンド属の樹木の発芽が促進されるメリットがあるという。しかし住民の理解を得られず失敗する苦労も多いようだ(ニジェール支所便り2017年12月号「~ニジェールでゴミを集める日本人―都市ゴミから生育する植物たちその3」)。

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