RSテクノ Research Memo(5):加工賃値上げは市況を見ながら段階的に。生産数量は能力を上回る水準を実現

2017年12月11日 15:09

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記事提供元:フィスコ


*15:09JST RSテクノ Research Memo(5):加工賃値上げは市況を見ながら段階的に。生産数量は能力を上回る水準を実現
■業績の動向

2. ウェーハ事業セグメントの動向
ウェーハ事業の四半期ベースの業績推移を見ると、売上高は順調に拡大が続いている。売上高は、2016年12月期第4四半期は様々な条件が重なり突出した数値となったが、2017年に入っても高水準かつ右肩上がりのトレンドが続いている。営業利益も四半期当たり700百万円超の水準が定着した状況にある。

(1) 価格動向
2017年は第1四半期(1月−3月期)に、プライムウェーハメーカーが値上げをしてスタートした。プライムウェーハの価格動向は、再生ウェーハの価格(再生加工賃)にも影響を与える。RS Technologies<3445>も第1四半期に一部需要家に対して値上げを実施したとみられる。

シリコンウェーハ全体に対するタイトな需給バランスを背景に、プライムウェーハメーカーは第2四半期以降についても継続して値上げに取り組んだ。第3四半期以降は大手シリコンウェーハメーカーではなくウェーハメーカーのほとんどで値上げが実現しているようだ。そうしたなか同社は、値上げに対しては基本的に需給バランスに応じて適宜実施するスタンスを維持し、一部顧客では数%程度価格が上昇しているようだ。業績予想においては値上げを織り込んでいない。

同社の値上げのスタンスは、理由はいくつか考えられるが、弊社では同社がローコストオペレーションの生産体制を構築していてコスト競争力に優れていることや、価格の大幅な引き上げよりも数量の拡大による成長を優先したためではないかと推測している。

どのような理由にせよ、同社の値上げスタンスは、中期的にはポジティブなことだと弊社では考えている。価格についての同社のスタンスは、裏を返せば数量拡大を重視することだ。詳細は後述するが、同社は現在フル生産の状態にあり、早晩、生産能力に関して何らかの施策を打つ必要があると考えられる。一旦能力増強を実施したからには、その分の稼働率を早急に高めることが最重要課題となる。同社は他社に比べて高い営業利益率を実現できていることもあり、当面は需要量の拡大を優先した施策を行っていくべきだと弊社では考えている。

ウェーハ事業の営業利益率の推移を見ると、2017年12月期第1四半期を直近のピークに、第2、第3四半期は連続して下落した。この理由は、新古品のウェーハの仕入価格上昇によるものだ。同社は顧客からの再生加工依頼品のほかにもプライムウェーハメーカーから規格外ウェーハを仕入れ、同社の技術で加工した上で新品のモニターウェーハとして販売している。第3四半期においてこの仕入れ価格の上昇が顕著となり、営業利益率の低下につながった。この点について同社は、原料ウェーハの仕入価格上昇分を販売価格に転嫁して是正を図る方針であり、第4四半期には値上げを実施した。

(2) 生産・稼働の状況
同社は現在、三本木工場(宮城県)と台南工場(台湾)の2工場で操業を行っている。加工するウェーハのサイズ、は三本木工場が12インチ及び8インチ以下と幅広いが、台南工場は12インチに特化している。ウェーハのサイズは現状は12インチが主流となっており、収益面でも中核を成している状況にあるため、以下の議論は12インチウェーハを念頭に進めることとする。

三本木工場は12インチウェーハのデザインキャパシティが月産20万枚のところ、2016年中から操業の工夫を重ねて月間21~22万枚程度の生産・出荷を行っていた。2017年に入り、さらに工夫を積み重ねて月間1~2万枚の生産を上積みし、足元では月間23万枚程度の生産を行っているとみられる。

台南工場のデザインキャパシティは月間10万枚で、2016年春に操業を開始した。操業開始時の稼働率は低かったもの徐々に稼働率を上げ、2016年末までにフル稼働に達した。2017年12月期に入ると、三本木工場同様、デボトルネックを進めて生産能力を上積みし、足元では月間12~13万枚の生産を行って状況にあるようだ。

同社が2つの工場それぞれにおいて、デザインキャパシティを20%~30%も上回る生産数量を実現できている要因として、大きく2つあるとみられる。1つは前述したデボトルネックだ。具体的には、一連の製造プロセスの中で、ボトルネック(他のパートに比べて生産性が低くなっている箇所)となっているところに改良を加えて他と同様の生産性を実現し、ライン全体の生産能力を高めるというものだ。

もう1つは加工度合いの見直しだ。同社の再生加工ウェーハは平滑度などのクオリティにおいて、用途に照らしてオーバースペック(過剰品質)となっているものも多いもようだ。この点を修正して適正なスペックまでの加工とすることで、研磨時間の短縮などを通じて生産性の向上、ひいては生産枚数の増加を図ることができる。加工スペックの変更は顧客との調整・合意も必要となるが、同社は説明・交渉等を重ねて、加工の適正化を進めている。

設備投資を伴わない地道な能力拡大の努力を重ねて実生産能力を大幅に高めてきた同社ではあるが、そうした努力も限界に近付きつつあるというのが弊社の理解だ。2018年12月期は、いわゆる設備増強について、何らかの判断が下されることになると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)《MW》

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