欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、中東情勢への懸念で円買い主導

2017年12月6日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、中東情勢への懸念で円買い主導
今日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を想定したい。トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定する方針で、中東情勢の緊迫化が予想されるためリスク回避的な円買い先行の動きが見込まれる。ただ、8日の米国の11月雇用統計の発表を控え、ドル売りにはある程度慎重になるとみられ、ドル・円の大幅安は回避されそうだ。

エルサレムの帰属問題は、数次にわたる中東戦争でイスラエルが獲得、併合したものの、パレスチナ側は東エルサレムを将来の首都とする姿勢を崩しておらず、今後の和平交渉に委ねられる中東問題の課題の1つ。トランプ大統領は昨年の大統領選での公約通り、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、現在テルアビブにある米国大使館をエルサレムに移転したい考え。日本時間7日未明にも、自身の見解や具体的な措置について発表するとみられる。

ここにきて米国がイスラエル寄り政策を強めることでパレスチナ自治政府の反発を引き起こし、中東情勢が一気に緊迫しかねない。報道によると、そうした事態を受けパレスチナの一部が反米デモの呼びかけを開始。本日のアジア市場ではリスク回避の円買いに振れやすい地合いとなった。海外市場でもこの問題が改めて消化される見通しで、ドル・円、クロス円で全般的に円買いの動きが広がりそうだ。

一方、今晩は22時15分発表の米国の11月ADP雇用統計が材料視されよう。民間雇用者数は前回を下回る見通しだが、完全雇用状態が指摘されるなか、今週末の11月雇用統計の発表を控え、ドル売りにはある程度慎重になるとみられる。また、引き続き米税制改革法案の年内成立に楽観的な見方が根強く、それもドル売りを慎重にさせそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:15 スイス・11月消費者物価指数(前年比予想:+0.8%、10月:+0.7%)
・21:00 メイ英首相が下院で質疑応答
・21:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:-3.1%)
・22:15 米・11月ADP雇用統計(予想:+19.0万人、10月:+23.5万人)
・22:30 米・7-9月期非農業部門労働生産性改定値(前期比年率予想:+3.3%、速報値:+3.0%)
・24:00 カナダ中銀が政策金利発表(1.00%に据え置き予想)《CS》

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