NYの視点:米税制改革法案、年内成立に向けた追い込み

2017年11月17日 07:39

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記事提供元:フィスコ


*07:39JST NYの視点:米税制改革法案、年内成立に向けた追い込み
米下院は共和党税制改革案を227対205で可決した。今のところ、就任後11カ月のトランプ大統領にとり最大の勝利となった。トランプ大統領が選挙中から掲げていた医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃、代替案成立はいまだ至っていない。

今後、上院にわたり、修正を経て、可決に至れば、トランプ大統領の署名で、成立となる。しかし、上院の可決は下院ほど容易ではない。上院がすでに発表済みの法案では、州、地方税控除が完全に撤廃される。また、オバマケア保険加入義務廃止が盛り込まれている。このため、特に税率が高い、NY、NJ、カリフォルニア州などの議員による反対が予想される。すでに共和党改革修正案に反対姿勢を公にしている共和党、ウィスコンシン州選出のロン・ジョンソン上院議員に加えて、マケイン上院議員(アリゾナ州)、コーカー上院議員(テネシー州)、フレーク上院議員(アリゾナ州)が現在の案に反対票に傾斜していると言われている。3議員は、トランプ大統領に反旗を翻しており、政治的な観点から、税制改革の成立を故意に妨げる可能性も指摘されている。上院での採決は感謝祭後になる可能性が強い。

トランプ政権は発足後、選挙中から掲げていた主要な措置がひとつも実施にいたっておらず、2018年の中間選挙にも影響を与える可能性がある。共和党にとって、経済政策の柱となる税制改革案を年内に成立させることが不可欠となっている。そんな中、下院で可決したものの、上院で十分な票が得られず、成立に至らなかったヘルスケアの二の舞になることが懸念される。《CS》

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