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2020年の悪夢?【フィスコ・コラム】
*12:42JST 2020年の悪夢?【フィスコ・コラム】
アメリカ大統領選から1年が経過し、勝利したトランプ氏はすっかり大統領らしくなり・・・などということもなく、相変わらずツイッターで破天荒な発信を続けています。30%台という異例の低支持率でも、ご本人はすでに再選を意識しているようです。ただ、ライバルの民主党が現状のままだとそれも現実味を帯びてきます。
2016年に民主党の全国委員会(DNC)で暫定委員長を務めたドナ・ブラジル氏は最近、大統領選の内情を暴露し大きな波紋を呼んでいます。選挙期間中に体調を崩したヒラリー・クリントン氏の指名候補交代を検討していたなど、興味深いエピソードが明かされました。しかし、何と言っても最大の「暴露」はクリントン陣営がDNCを事実上取り仕切り、対立候補だったバーニー・サンダース氏が不利になる工作を公然と進めていたことです。
サンダース氏は民主党の指名候補争いに敗れたものの、一時はクリントン氏を上回る支持を集めていました。予備選では一部の州で無党派層の投票規制など、サンダース氏の得票を減らす措置がSNSを通じて告発されていました。ブラジル氏が暴露した内容はそれらを裏付けるもので、事実であればクリントン陣営がサンダース支持者を封じ込めたために民主党は分裂し、最終的にトランプ政権を誕生させたことになります。
ブラジル氏の告発に対し、大手メディアの報道は今のところ低調です。米国を代表するテレビや新聞など、いわゆる主流派メディアは当時クリントン氏を露骨に後押ししていたためだと思われます。今回の「暴露」はこうしたメディアにとって、いわば公然の秘密にすぎません。「肝心なのは過去を蒸し返すことではなく、未来に向けて党をまとめていくこと」とする民主党現執行部の弁明に同意している様子がうかがえます。
ところが皮肉なことに、2016年の大統領選本選の結果には決して納得していないのが主流派メディアです。トランプ氏の今回のアジア歴訪も、熱心に報じているのは一部にすぎず、主流派メディアは相変わらずロシア疑惑を突破口にどうにかしてトランプ氏を大統領の座から引きずり降ろそうと躍起になっています。政権を監視するのはメディアの役割なので一見正しそうですが、「でっち上げ」のような“報道”も散見されます。
選挙結果が自分たちの意に添わなくても、それは立派な民意です。トランプ氏が自分たちの国の代表であるべき品位や知性を兼ね備えていないとみるのは勝手ですが・・・。
米国内の人口動態の変化、つまり相対的にみた白人人口の減少やリベラル志向の有権者の増加を考慮すれば、昨年の大統領選は民主党が有利になって当然でしたが、結果は有力メディアによる当時の調査自体に大きな疑問を生ずるものでした。「本質はワシントン的な既成政治に対する漫然とした不満」と指摘されていましたが、既成政治と一体化したメディアへの反発も多分に含まれていると思われます。
(吉池 威)《MT》
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