沼でトライアスロン?千葉が誇る手賀沼トライアスロン

2017年8月21日 07:11

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手賀沼にかかる手賀沼大橋。

手賀沼にかかる手賀沼大橋。[写真拡大]

■トライアスロンについて

 トライアスロンと言えばスイム、バイク、ランの三種競技を行う、最も過酷なスポーツの一つとして挙げられる。よく鉄人レースと言われることもあるが、実はトライアスロン=鉄人レースではない。現在トライアスロンはスイム1.5km、バイク40km、ラン10kmのトータル51.5kmが一般的な大会のディスタンスで、オリンピック・ディスタンスとも呼ばれている。名前の通り、オリンピックのトライアスロンはこの距離で行われ、世界トライアスロンシリーズも同様である。

 一方鉄人レース(もしくはアイアンマンレースとも呼ぶ)は大会によってまちまちである。日本のトライアスロン発祥の地とされている米子市の皆生で行われる皆生トライアスロンではスイム3.0km、バイク140km、ラン42.195kmだが、この距離も年によって変わることがある。最後のランが42.195kmというのは大体どの大会も共通だが、スイム、バイクの距離は大会運営によって異なる。

 つまり、鉄人レースはトライアスロンの一種ではあるが、一般的に言われるトライアスロンというのは鉄人レースではないのだ。しかしながら、トライアスロンが過酷というのは間違いない。

■一般的なトライアスロン

 そして一般的なトライアスロンのスイムは海で行われる。750mのスイムコースを2周、もしくは1500mのスイムコースを1周することがほとんどである。その後バイク、ランと競技を進めていく。

 しかし、そんなトライアスロンの常識を覆した大会が存在する。それが手賀沼トライアスロンだ。「沼で泳ぐことなんてできるの?」という疑問の声があるかもしれないが、今年で12回目の開催を数える。各大会個性を出すことに必死だと思うが、手賀沼トライアスロンは「沼」という超特異性を売りにしているのではないかと感じられたくらいだ。

 そして20日に行われた同大会は前日の悪天候もあり、水質は濁って案の定、前は見えない。前は見えないどころか自分の指先すら全然見えない。言ってみれば真っ暗闇の中、人やブイに当たりながら突き進んでいく。

 ところがスイムを終えたら後は終始フラットなバイクコース、ランコースが残っている。地元ボランティアも多く、周回コースのため沿道の声援が絶えなかったのが印象的だ。「沼」というここでしか味わえないであろうスイムコース、地域に密着したバイク、ランコースを味わってみたい人にはぜひお勧めしたい大会である。

 千葉県の北西部に位置する手賀沼は、かつては魚介類も豊富な綺麗な沼だったものの、周辺地域などの都市化の影響で汚染が進み、2001年までは27年も連続で、COD(化学的酸素要求量)の年平均値で見た国内湖沼での水質汚染ワースト1位という不名誉な記録が続いていた。90年代後半からは水質改善が進み、北千葉導水路が完成したこともあり、2006年に地元の愛好家を中心として始まったのが、手賀沼トライアスロンだ。「甦れ手賀沼」を掲げており、現在では県協会公認のレースとして、個人の部では400人、リレーの部では50チームの募集で行われている。

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