ケニアの首都ナイロビ近郊で初めて猿人「アウストラロピテクス」の化石を発見

2016年4月30日 12:03

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京都大学の中務真人教授らの国際研究チームは、大地溝帯の断層崖上に位置するナイロビ郊外のカンティスで猿人化石を発見した。写真は、発見された化石。(京都大学の発表資料より)

京都大学の中務真人教授らの国際研究チームは、大地溝帯の断層崖上に位置するナイロビ郊外のカンティスで猿人化石を発見した。写真は、発見された化石。(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の中務真人教授らの国際研究チームは、大地溝帯の断層崖上に位置するナイロビ郊外のカンティス(高度1700m)で初めて猿人化石を発見した。

 今回の研究では、大地溝帯の断層崖上に位置するナイロビ郊外のカンティス(高度1700m)で、初めて大地溝帯以東から猿人化石を発見した。化石産出層の年代を放射年代測定と古地磁気により350万年前と決定し、化石の特徴からアウストラロピテクス・アファレンシスであると同定した。また、4点の化石から、少なくとも成人男性1人と乳児2人の存在が確認された。

 東アフリカに位置するエチオピア、ケニア、タンザニアは鮮新世人類化石の産地として知られるが、それら全ては、都市から隔絶し、乾燥したアフリカ大地溝帯の内部にある。

 中務教授は「ケニアでは、半世紀以上、大地溝帯の乾燥地域で人類化石の探索が行われています。その首都で猿人化石が見つかるとは、誰も予想していませんでした。他の鮮新世化石産地と異なる特性から、カンティスは、研究上貴重な遺跡であると同時に、首都近郊という立地条件から、同国の教育・観光面において、非常に大きな可能性をもちます。残念ながら、ナイロビにおける近年の急速な宅地開発が遺跡の近くに迫っており、遺跡の保存が喫緊の課題です」とコメントしている。

 なお、この内容は「Journal of Human Evolution」に掲載された。論文タイトルは、「Kantis: A new Australopithecus site on the shoulders of the Rift Valley near Nairobi, Kenya」。

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