三菱商事、ライバルが撤退する中、北米ガス事業強化

2016年1月25日 00:24

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記事提供元:エコノミックニュース

 「シェールガス革命」と言われて懐かしさすら感じる人も多いだろう。日本では特に東日本大震災の後に“期待の新資源”として注目された。シェールガス・オイルは地下深くの泥岩(シェール)層に含まれる。2000年代以降に米国やカナダで開発が本格化した。日本からも商社を中心に大規模な開発プロジェクトが組まれたが、技術的困難さ、生産量や価格などで思わぬ損失を生み、撤退も相次いでいる。

 そのような中、三菱商事は北米の天然ガス事業を強化するためのM&Aを行うことを発表した。子会社のエムシー・グローバルガス(MCGG社)を通じて、米国のガスマーケティング会社であるシーマ・エナジー(CIMA社)を完全子会社化する。

 CIMA社は、米国ヒューストンを拠点に、ガスや原油のマーケティング事業を展開しており、北米市場に1,500社に上る顧客基盤と安定した取引網を持っている。CIMA社は今後、三菱商事が北米で展開するLNG(液化天然ガス)プロジェクト向けの原料ガスの調達に関連する支援、輸送手配、数量調整業務、当社手配のパイプラインに対する輸送契約管理など、北米天然ガス事業におけるオペレーション業務の核を担うこととなる。三菱商事では「生産から販売までのバリューチェーンの強化と安定化に寄与する」としている。

 三菱商事では、米国ルイジアナ州のキャメロンLNG社への参画に加え、カナダシェールガス上流開発事業やLNGカナダプロジェクトへの参画を通じたLNG輸出事業を推進している。生産されたLNGは、シンガポールの子会社を経由して日本や欧州、アジア新興市場で販売する予定という。

 大手商社は、北米での事業で苦汁をなめてきた。住友商事は、米国でのシェールオイル開発事業の不振が響いて2015年3月期連結決算で2400億円の損失を計上した。住友商事は2012年9月から米テキサス州での開発事業に着手していたが、投入した資金に見合う生産量が見込めないことがわかったとした。

 伊藤忠商事は、15年6月に米国でのシェールガス事業から撤退した。ガスや原油の価格が下落し、事業を続けることが難しいと判断したという。所有する、石油・ガス開発を手掛けるサムソン・リソーシーズ社の所有する株式25%を同社へ1ドルで売却した。累計での損失額は約1000億円に上っていた。

 その中で、シェールガス関連を含む北米でのガス事業を展開させようという三菱商事。同社広報部では「資源事業から撤退する考えはない。今進めている事業を今の環境の中で粛々と進めていきたい」としている。北米からエネルギー革命は起きるのか。その成否が注目される。(編集担当:城西泰)

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