カエルで初めて、機能的な関節を再生させることに成功―京大・堤璃水氏ら

2015年12月26日 23:55

印刷

カエルで再生した関節の運動の連続写真。再生した肘関節(黄色矢印)は、曲げ伸ばし運動のできる機能的なものだった。(京都大学の発表資料より)

カエルで再生した関節の運動の連続写真。再生した肘関節(黄色矢印)は、曲げ伸ばし運動のできる機能的なものだった。(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 通常の切断方法では、カエルは関節を再生することはできないが、今回の研究では、肘関節で切断した場合、機能的な関節が再生することがわかった。(京都大学の発表資料より)

 京都大学の堤璃水・日本学術振興会特別研究員らは、これまで関節を再生することができないとされてきたカエルで、はじめて機能的な関節の再生を引き起こすことに成功した。この成果は、両生類よりも再生能力の低い哺乳類でも、関節の再生を実現することにつながる可能性があるという。

 関節が機能的であるためには、関節をつくる二つの骨が相補的な形状で組み合わさっているだけでなく、関節をまたいで筋肉が腱を介して骨に挿入されている必要がある。イモリなどの有尾両生類は、四肢をどこで切断しても関節を含む機能的な構造を再生することができるが、カエルではスパイクと呼ばれる分岐のない尖頭様の軟骨を再生するのみで、関節を再生することはできないとされていた。

 本研究グループは以前、イモリの肢を肘関節で切断すると、根元に残存した組織と、切断部から再生してきた組織の相互作用することで、根元に残った関節の片割れに合うような形の関節構造が再生部に作られ、機能的な関節が再生することを報告している。今回は、カエル前肢をイモリで行ったのと同様の方法によって肘関節で切断し、再生してきた軟骨の形態を観察した。

 すると、再生した軟骨の根元には、残存部の関節の片割れに合うような関節構造が再生していることがわかった。この再生した肘関節は自発的に動かすこともできる機能的なものだった。カエルで機能的な肘関節の再生に成功した事例はこれが初めてという。

 研究メンバーは、「今回、カエルで組織間調和作用を機能させれば、骨の構造のみならず上腕の筋肉が下腕に伸びて腱を形成することも可能であることを示しました。この発見は将来の再生医療に大きく貢献するものと期待しています。なぜなら、iPS細胞などから作った三次元構造物を傷んだ部分に移植する際、移植したものが、残存部と整合性のある構造物として生着する必要があるからです。移植したものがホストとは別の構造物にならないようにするにはどうしたら良いか、そのヒントは今回の発見から得られるのです」とコメントしている。

 なお、この内容は「Regeneration」に掲載された。論文タイトルは、「Functional joint regeneration is achieved using reintegration mechanism in Xenopus laevis」。

関連記事