カニやエビの甲羅から、高収率で機能化学品を得られる手法を開発―北大・福岡淳氏ら

2015年12月3日 16:42

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キチンからのアミノ糖の合成の過程を示す図。(北海道大学の発表資料より)

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 北海道大学触媒科学研究所の福岡淳教授と小林広和助教の研究グループは、少量の触媒でカニやエビなど甲殻類の殻に含まれる「キチン」を分解して、医薬品や機能性ポリマーの原料になるN-アセチルグルコサミンを高い効率で得られる手法を開発した。

 キチンはN-アセチルグルコサミンというアミノ酸が多数繋がった高分子であり、カニやエビの殻、そしてキノコなど様々な動植物に含まれている。そして、地球上ではセルロースに次いで大量に存在するバイオマスであるため、医薬品や機能性ポリマーなど様々な有用化学品の原料になる可能性がある。しかし、キチンをN-アセチルグルコサミンやその誘導体に変換するためには、大量の塩酸や長時間の酵素反応が必要であるという欠点があった。

 チキンには、N-アセチルグルコサミンユニット同士を繋ぐ「グリコシド結合」と、ユニット内部にぶらさがっている「アミド結合」の2つの化学結合が含まれているため、グリコシド結合のみを選択的に切ることができればN-アセチルグルコサミンを得ることができる。通常の方法で少量の酸を用いてキチンを分解しようとすると両方の結合が切れて壊れてしまうため、今回の研究では、少量の酸を使うのと同時にキチン分子を機械的な力で引っ張ることを考案した。

 具体的には、キチンに少量の硫酸を含ませ、室温で遊星ボールミル処理することで、N-アセチルグルコサミンが数個つながった水溶性の中間体が得られること、この中間体をさらに熱水中で分解するとN-アセチルグルコサミンが得られ、メタノール中で分解すると1-O-メチル-N-アセチルグルコサミンが、得られることを示した。また、この方法を確立したことにより、酸のみに頼る従来法に比べて、酸の使用量を99.8%削減することにも成功した。

 今後は、従来破棄されていたカニやエビの甲羅を有効利用できるようになると期待されている。

 なお、この内容は「ChemSusChem」に掲載された。論文タイトルは、「Catalytic Depolymerization of Chitin with Retention of N-Acetyl Group」(和訳:N-アセチル基を保持したキチンの触媒的解重合)。

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