京大、動物の新しい特徴が進化する仕組みの一端を明らかに

2015年6月4日 16:11

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ミズタマショウジョウバエでは、新しく獲得されたエンハンサーにより、winglessの発現部位が増加していることが分かった。(京都大学の発表資料より)

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 京都大学の越川滋行特定助教らの研究グループは、ショウジョウバエを使った実験で、動物の新しい特徴が進化する仕組みの一端を明らかにした。

 ヒトとチンパンジーの遺伝子配列は極めて良く似ていることが分かっているが、形態や行動などの点は大きく異なっている。近年、技術の進歩とゲノム配列情報の充実により、制御領域の違いが種間の形質の違いをもたらしている事例が多く報告されるようになった。しかし、発生制御に関わる遺伝子に関しては、形質の消失に関する研究が多く、新たに形質が獲得される場合に制御領域に何が起きているかという点に注目した研究はほとんどなかった。

 今回の研究では、キイロショウジョウバエとミズタマショウジョウバエのwingless遺伝子周辺の領域に注目し、遺伝情報を比較した。ミズタマショウジョウバエは、翅に水玉模様があり、wingless遺伝子がこの模様を誘導している。比較の結果、ミズタマショウジョウバエにはキイロショウジョウバエにはないエンハンサーが3つあり、それぞれ模様ができる位置に対応して いることが分かった。これは、進化の過程でエンハンサーが新しく増えることで、発生制御遺伝子の働く場所が増えていることを示した初めての事例という。

 また、発見した3つの新しいエンハンサーのうちのひとつは、既存のエンハンサーの配列が変化することで生じており、新旧2つのエンハンサーの機能を併せ持っていることも明らかになった。このように古いエンハンサーの改変によって新しいエンハンサーができることが、一般的に見られる現象である可能性が示された。

 今回発見されたものと同様の減少は、ショウジョウバエに限らず、人間を含めた多くの生物から見つかる可能性がある。エンハンサーが増加することで、重要な遺伝子が機能を損なうことなく新しい発現領域を獲得することができるため、新しい形質が獲得される仕組みとして重要性が高いと考えられる。

 研究メンバーは「ミズタマショウジョウバエのような小さな虫に模様がどのようにできるのかを解明することすら、気の遠くなるような道のりです。実験のしやすい昆虫を使うことで、進化はどのように起こるのか、という普遍的な問題に挑戦し続けたいと思います。」とコメントしている。

 なお、この内容は「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載された。論文タイトルは、「Gain of cisregulatory activities underlies novel domains of wingless gene espression in Drosophilacis」(制御活性の獲得がショウジョウバエにおけるwingless遺伝子の新しい発現ドメインの基盤となる)。

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