親の介護経験のある人ほど、自分の介護準備を早くから始める

2015年4月5日 21:18

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記事提供元:エコノミックニュース

 「介護問題」とは自分の親世代の面倒を見ることだけではなく、いずれ自分もその対象になる準備をするということである。ニッセイ基礎研究所は、介護経験の有無によって介護準備に対する心づもりが大きく異なることを明らかにした。

 「老後の生活設計」について、介護経験がある人では「具体的に立てている」が5.1%、 「漠然と考えている」が53.0%、「特にしていない」が42.0%となっている。一方、介護経験がない人では、それぞれ2.3%、40.6%、57.1%となっている。老後の生活設計をしている人は、介護経験がある人が58.0%であるのに対し、介護経験がない人は42.9%。およそ 15 ポイントのひらきがあり、介護経験の有無によって、老後の生活設計実施割合は大きく異なることがわかった。

 介護経験の有無による老後の生活設計項目をみると、介護経験の有無に関わらず高いのは、「健康維持・管理(介護経験あり79.6%:介護経験なし75.6%)」「生きがい・過ごし方(介護経験あり62.5%:介護経験なし59.9%)」、「収入・支出(介護経験あり55.6%:介護経験なし55.0%)」等。一方で差が見られたのが、「資産・負債(介護経験あり33.1%:介護経験なし27.8%)」、「住まい(介護経験あり29.8%:介護経験なし22.7%)」「ご自身の介護(介護経験あり29.1%:介護経験なし16.2%)」となった。介護経験の有無に関わらず、自分の健康維持や生きがい、収入などへの意欲関心は高い一方で、介護経験なし者は、自分自身の介護や老後の住まいといった具体的な問題に対する意識は低いようである。

 介護準備をしない理由についてたずねたところ、介護経験の有無に関わらず多かったのが、「経済的な余裕がないから(介護経験あり35.2%:介護経験なし33.1%)」。介護未経験者に多かった理由が「何をしていいかわからないから(介護経験あり25.9%:介護経験なし35.6%)」「きっかけがないから(介護経験あり10.3%:介護経験なし15.9%)」「興味がない・関心がないから(介護経験あり5.4%:介護経験なし10.8%)」。

 一方、介護経験者に多かった理由は、「時間的・精神的余裕がないから(介護経験あり27.5%:介護経験なし18.4%)」「介護が必要になる時期やその時の状態がわからない中では準備の使用がないから(介護経験あり28.7%:介護経験なし23.5%)」となった。

 介護経験者は、介護準備に対する意欲はあるものの時間的経済的な理由がないことから準備しないのに対し、介護未経験者は意識そのものが低く、具体的にどうしていいかわからない・関心がないという状態にあることが伺える。「備えあれば憂いなし」という言葉があるが、親の介護経験はその予行演習なのかもしれない。(編集担当:堺不二子)

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