京都大学など、電波の混雑時もスマホ同士の連携で速度が下がらない技術を開発

2015年3月4日 12:04

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携帯端末が助け合って混雑を解消している様子(京都大学の発表資料より)

携帯端末が助け合って混雑を解消している様子(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学、岡山大学教授、京都工芸繊維大学らの研究グループは3日、スマートフォンなどの携帯端末が近くの端末同士で相互に連携し、共同して基地局と通信する技術を開発したと発表した。

 これにより、多数の人が集まる場所で、携帯端末を一斉に使用しても通信速度が低下せず、通信できる。今回開発された技術は、電車やバス内、イベント会場など、人が集まっていながら、相対的にはあまり動かない環境での利用に特に適しているという。

 従来、このような環境で多人数が一斉に通信を行うと、1人当たりの伝送速度が減少していた。しかし、新しく開発された技術を利用すると、多数の端末同士を連携させ、近距離の無線通信を用いて端末の受信信号を共有することで、基地局との通信容量を増加させることができ、1人当たりの伝送速度がほとんど低下しなくなる。

 現在の無線LANやLTE(Long Term Evolution)などが、MIMO(Multi-Input Multi-Output)伝送を利用しているが、この技術は、アンテナ数にほぼ比例した通信容量が得られる。しかし、携帯端末に備えることができるアンテナは数アンテナに限られていた。

 今回開発した技術では、近傍の端末が高周波数帯を利用して相互に連携することによって、等価的に多数のアンテナを備えた一つの端末として機能させる。これにより、連携するユーザー数にほぼ比例して通信容量を拡大できるので1人当たりの伝送速度は下がらない。

 研究グループは今後、より高い周波数を利用した端末間連携を実現することで、今回の技術をより洗練されたものにしていくとしている。(記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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