理研、母親が赤ちゃんに話しかける時は「はっきり」発音していないことを明らかに

2015年2月8日 21:29

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今回の研究で使用された音声認識アルゴリズムの概念図(理化学研究所の発表資料より)

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 理化学研究所の馬塚れい子チームリーダー・アンドリュ・マーティン研究員らによる研究グループは、母親が赤ちゃんに話しかけるときの音声が、大人同士で話すときほど明瞭ではないことを発見した。

 母親が赤ちゃんに話しかける時は、赤ちゃん言葉を使う、文が短くなる、ピッチの変動が激しくなる、といったことが知られている。そして、その理由として「母親は赤ちゃんに向けてその言語の音を一つひとつはっきり発音しており、それによって赤ちゃんがその音を区別しやすくなる効果がある」という定説があった。

 今回の研究では、日本人の母親22人を対象に、自分の赤ちゃん(月齢18カ月から24カ月まで)と自由に遊んでいる状況と、実験スタッフ(大人)と会話をしている音声を録音し、どちらが明瞭な音声で行われているのかを比較した。その結果、大人と話している時の方が、赤ちゃんに向かって話している時よりも明瞭な音声で話していることが明らかになった。

 本研究では、従来にない大規模な音声データを調べることで「赤ちゃんと会話するときの音声は、大人同士で会話するときの音声よりも明瞭である」という定説とは反対の結果が得られ、この定説が成り立たない可能性を示した。

 そして、母親の赤ちゃんに対する特徴的な音声が、母親が赤ちゃんの注意を引いたり、母親自身の情動を伝えたりするためであり、赤ちゃんのコミュニケーション能力や認知能力を高める役割があるという、最近報告されている仮説を支持するものいえる。

 今後は、母親の赤ちゃんに対する発話の意義や役割について研究を進めることで、赤ちゃんが言語を習得する過程の解明に繋がると期待されている。

 なお、この内容は「Psychological Science」オンライン版に掲載された。

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