「ワンフェスエスカレーター事故」の調査報告書が公表される。原因は減速機の不具合

2015年1月19日 20:45

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 2008年8月のワンダーフェスティバル会場にて発生した、エスカレーターの逆流事故(過去記事)について、国土交通省がまとめた事故調査報告書が公表された。

 これは国土交通省の社会資本整備審議会に設置された昇降機等事故調査部会がまとめたもので、同時に栃木県内のエレベータ事故、よみうりランド「ツイストコースターロビン」の逆走事故も公表されている。

 それによると、ワンフェスでの当該エスカレーター事故時の状況は「乗り込み人数については、積載荷重をやや上回る程度であった」(法科学鑑定研究所株式会社による報道画像、インターネット画像の分析結果によると84段に対して最大125人であり、最大積載荷重に対して1.07倍)とし、当初報道で言われたような積載荷重の限度を大きく超えるような人数(1段に対して3~4人が押し込められるような状況)がエスカレーターに乗っていたわけではないと分析した。

 その上で、原因としては「駆動機を取り付けている可動ベッドの減速機側が、踏段方向に約40mmずれ、くさりが大きく弛む」状態であったと指摘。「駆動くさりはスプロケットに乗り上げ滑っていた可能性が考えられ」「ブレーキの制動力が積載荷重に対し十分な安全率が確保されていなかった」と指摘している。「駆動装置の固定ボルト等の安全率が他社の半分にも満たない低い数値であった」事や、実際に固定ボルトのネジ山が破断していたり、固定ボルトにゆるみがみられている事なども指摘されており「固定ボルトの強度やブレーキ力について建築基準法上の規定はないが、特に一時的な利用者の集中に備え、十分な安全率の確保に配慮すべきであった」とし、国土交通省に対しても「駆動装置の固定」と「制動力について」安全確保のために必要な方法を検討するべきである、としている。

 当時を思い出すに、当初警察発表で80人~120人程度と言われていたエスカレーター乗り込み人数が時間を追うごとに増えていき、最終的には警察発表で180人が乗り込んでいたと報道されていたのを思い出す。この調査報告書から見ると、やはりこの警察発表は結論ありきのものだったのではないかと疑問符を付けざるをえないものであり、やはり警察発表であっても(そして、この調査報告書自体も)鵜呑みにしてはならないものなのだなあ、と改めて思う所である。

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