ダイナムジャパンHD Research Memo(2):逆風下でも着実に成長、高効率の店舗を慎重ながら果敢に出店

2015年1月9日 10:10

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記事提供元:フィスコ


*10:10JST ダイナムジャパンHD Research Memo(2):逆風下でも着実に成長、高効率の店舗を慎重ながら果敢に出店

■背骨:チェーンストア理論

~沿革と事業概要~

ダイナムジャパンホールディングス(06889/HK)は日本最大級のパチンコホール運営企業で、2014年9月現在の店舗数380店は国内トップとなっている。

国内パチンコ市場は縮小基調にあり、パチンコホールの店舗数も減少基調にある。ピークの1995年と直近の比較では、売上高が30.9兆円から18.8兆円(2013年)に、参加人口が2,900万人から970万人(2013年)に、パチンコ店舗数が17,631店から11,178店(2012年)に、それぞれ大きく減少している。

こうした逆風環境の中で、同社は着実に成長を達成してきた。1995年との比較では貸玉収入で1995年度の113,094百万円から922,172百万円(2013年度)に、パチンコ店舗数で45店から375店(2014年3月末)に、それぞれ大きく成長している。この背景にはパチンコ市場の縮小を構造的なものとして真摯に受け止める一方、依然として20兆円に近い巨大市場であり、シェア拡大で自社の成長余地は十分に大きいと確信してきたことが第1に挙げられる。そして、シェア拡大のための具体的な戦略として「低貸玉機」の積極的導入に加え、利益確保を両立させるための「ローコストオペレーション」の徹底が第2の要因だ。ローコストオペレーションの思想は店舗運営のみならず新規出店においても貫かれている。収益性と効率性を追求した低コスト出店モデルを確立し、慎重でありながらも果敢に出店を行ってきたこと、これが第3の要因と言える。

同社のこうした成長戦略を理解するためには、同社の沿革と現取締役会議長である佐藤洋治氏が進めて来たチェーンストア理論に基づく経営についての理解が不可欠だ。佐藤氏は大学卒業後、ダイエーに入社した。当時日本に入ってきたばかりの「チェーンストア理論」に感銘を受けたためだ。その後、亡父の後を継いでダイナムの経営を行ってきたが、チェーンストア理論をパチンコホールの経営に取り入れてダイナムグループを業界トップ企業に押し上げた。また同社は、パチンコ業界はもとより他の産業の平均と比べてもかなり早期から、顧客第一主義、情報開示、コンプライアンス経営などの要素を経営に取り込み経営リスクの低減に努めている。これも同氏がチェーンストア理論を導入した効果であると言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)《FA》

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