アパレル企業のWeb責任者が見る「2018年。3年後のWeb戦略」―UNITED ARROWS LTD.―【後半】

2015年1月2日 11:52

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記事提供元:アパレルウェブ


ユナイテッドアローズ事業支援本部デジタルマーケティング部部長 相川慎太郎氏

スマホ時代に向けた取り組み

―UNITED ARROWS LTD. ONLINE STOREの最近の調子はどうでしょうか?

 10月、11月は苦戦しましたね。それは店頭も同じでした。今まではECだけ調子が良いこともありましたが、良くも悪くも店頭と連携してきたのでしょうかね。

―サイトの訪問数などは増えているんですよね?

 はい、訪問数、閲覧数、客数、購入件数は軒並み増えているのですが、サイトに訪問していただいているにも関わらず購入して頂けていない状況です。価格や在庫状況など情報収集のためにECに訪問しているという印象はあります。

UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE公式アプリを公開されましたが、今後注力していく施策を教えていただけますか?

 まさにモバイルファーストですね。すでにECのセッション数の70%がスマホ経由です。まずはモバイルありき。ウェブのクリエイティブ設計もモバイルから始まることが増えてきています。

 アパレルウェブ社にご支援いただいているUNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE公式アプリは現在、会員数は増えていますが、アクティブユーザー数の伸びが悪いので、アプリを頻繁に見ていただけるように、コンテンツ統合などが必要かなと思っています。

―ちなみにメルマガ施策の調子はどうでしょうか?

 スマホが台頭しても効果は落ちないですね。相変わらず強力なメディアです。ECから毎日メールを送っていますが、CVRは高いままですね。

-毎日でも飽きられない工夫が必要になってきますね。

 新着アイテム以外にコーディネートやニュースを送っていますし、なるべくHTMLで豊かな表現に見せるよう配慮しています。

 今後は1to1でメッセージ配信をして、利用店や利用頻度によって内容を変えるなど、アプリの方でもメッセージ発信には力を入れていきたいです。

―ブランドサイトとECを統合したハイブリット型サイトが増えてきていますが、相川さんのお考えを教えていただけますか。

 実は「スティーブンアラン」や「ボワソンショコラ」「ザ ステーション ストア/ザ ハイウェイ ストア」などはすでに統合しており、すべて感触が良いです。SEOのことを含めて、ハイブリット型はメリットしかないと思っています。


「スティーブンアラン」

「ザ ステーション ストア/ザ ハイウェイ ストア」

店舗でできることはすべてやりたい

―2014年のヒット施策を教えてください。

 店頭への商品取寄せサービスの反応は良かったです。「ビューティ&ユース」や「グリーンレーベル リラクシング」などで実施していますが、2つの事業で1週間にだいたい50~70件の利用があります。2015年までには全ブランドで実施させたいですね。


店頭取り置き

―これからの施策について教えてもらえますか?

 店舗でできていることをすべてやりたいですね。例えばお直しやギフトラッピングなどは早急に対応していきたいと考えています。

 あとは、画一的な情報配信ではお客様にマッチしないので、「パーソナライズ化」を進めていきたいです。コンテンツだけでなく広告も活用したいので、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム:オンラインオフライン含めたデータの一元管理)も検討していきたいと思っています。

―パーソナライズ化すると、データ活用に高度なオペレーションや専門制が必要になってきますね。これからのチームビルドについて教えてもらえますか?

 今までのEC事業部は商品登録やコンテンツの更新業務が多かったのですが、業務の平準化も進んできており、今後は、データ分析や顧客解析などの専門的な業務に力を入れながら、業務領域は制作から分析へと徐々にシフトしていくと感じています。

進むパーソナライズ化

―「3年後のWEB戦略」について教えてください。

 まず、会社としてはEC事業部は引き続き伸ばしていき、特に自社ECの比率を上げていきたいと思っています。そのために、店舗連携や顧客データ連携が必要になってきます。

 次に、個人的にはコンテンツやADのパーソナライズ化が進んでいき、商品に関しても「自分だけ、私だけ」が強くなると思っています。即日配送のニーズが高まっている反面、先行受注会のシェアは年々上がってきている実態があります。注文から納期まで3カ月後に届く先行受注会へのオーダーが伸びる実績から、“本当に欲しい物へのこだわり”が徐々に増しているように感じるんです。

 すでにアメリカでは進んでいますが、「NIKE ID」然り、ウェブサイトはセルフカスタマイズという要望に応えやすいので、積極的に実施していきたいです。バーチャサイズなども導入しましたので、現状はサイズ感にご満足いただけるEC環境整備に着手できましたが、近い将来、ウェブでカスタマイズ商品を買う流れは、はやってくると思っています。


バーチャサイズ

―最後に相川さんご自身の2015年の抱負を教えてください。

 個人的には英語をきちんと勉強していきたい。海外展開、インバウンド戦略、東京オリンピックなどもありますし、備えておかないと。そもそも自分がやっていることを海外の方に話せないといけないなとも感じています。

-長い時間にわたりインタビューにお答えいただき、誠にありがとうございました。

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相川慎太郎(あいかわ・しんたろう) 1999年4月株式会社ユナイテッドアローズ入社。物流、システム、店舗開発の管理部門を経て、 2005年にUNITED ARROWS本部のZOZOTOWNの出店に参画。初代店長を経て、2007年同本部、ネット通販課課長。2009年9月に直営オンラインストアを立ち上げ、事業支援本部EC統括チームリーダーとして、全社ECの運営支援統括に携わる。 2013年4月1日より現職。

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

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