東大、ラットが仲間に危険を教える匂い物質を明らかに

2014年12月18日 18:10

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危険を伝えるフェロモンはラットの肛門周囲部より放出されて、それを嗅いだラットの不安を増大させる(東京大学の発表資料より)

危険を伝えるフェロモンはラットの肛門周囲部より放出されて、それを嗅いだラットの不安を増大させる(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の森裕司教授らによる研究グループは、ラットが危険を伝える匂いに含まれる4メチルペンタナーとヘキサナールの2種の混合物が、それを嗅いだラットの不安を増大させるフェロモンであることを明らかにした。

 人間を含め、様々な動物が危険を感じると匂いを発することが知られており、動物種によっては警報フェロモンと呼ばれている。

 今回の研究では、ラットを用いた実験によって、4メチルペンタナーとヘキサナールの2種類を混合物として嗅いだ場合に不安が増大することを明らかにした。さらに、4メチルペンタナールは鋤鼻器という人間にはない特殊な器官で嗅がれていることや、ヘキサナールは人間と同様に鼻粘膜で嗅がれていることも分かった。

 今後は、害獣であるネズミの制御法としてフェロモンを適用することや、私たち人間の嗅覚コミュニケーションを理解することに役立つと期待されている。

 なお、この内容は12月15日に「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」オンライン版に掲載された。

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