農業特区・新潟市にローソン参入 6次産業のモデルとなるか

2014年12月12日 10:49

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記事提供元:エコノミックニュース

12月3日、政府は国家戦略特区についての区域会議を開き、新潟市における事業計画を決定。企業の農業参入を促進するために、農業生産法人の設立に関して規制緩和を設け、農業委員会の権限の一部を市に移すとした。

12月3日、政府は国家戦略特区についての区域会議を開き、新潟市における事業計画を決定。企業の農業参入を促進するために、農業生産法人の設立に関して規制緩和を設け、農業委員会の権限の一部を市に移すとした。[写真拡大]

 成長戦略の一環として設定された国家戦略特区の新潟市について、政府は12月3日、区域会議を開き、今後の事業計画を決定した。企業の農業参入を促進するために、農業生産法人の設立に関して規制緩和を設け、農業委員会の権限の一部を市に移すとした。農業とビジネスを結びつけ、大規模農業の運営へとおおがかりな改革が進められようとしている。

 通常、農業生産法人の役員は、過半数を農業従事者とするよう規定されているが、新潟市の特区では1人以上で設立を可能とした。さらに、農家の方にもビジネスチャンスを広げる機会を作るため、中小企業向けの信用保証の利用を認め、農家が融資を受けやすくする仕組みを導入する。また、農業委員会には農地の使用や認可を与える権限があるが、特区の事業計画では新潟市長が企業に対し、参入の認可を与えることができるようになる。

 同特区でももっとも大きな動きとなりそうなのは、大手コンビニチェーンのローソン<2651>の参入だ。ローソンは農家と共同出資して農業生産法人を設立し、米作りから携わる農業事業を開始するとした。生産・加工、販売まで、ほぼすべてを生産者が手掛ける6次産業の活性を目指す。自社栽培で生産した米をセールスポイントに、おにぎりや弁当、精米などもコンビニ店頭で販売していく計画だ。

 特区の本格的な始動は、衆院選後に行われる国家戦略特区諮問会議にて、正式認定を受けた後となる。突然の衆院解散で、海外からの投資や人材を受け入れやすくするための特区法改正案が廃案になるなど、計画の推進について不安定な面もあるが、内閣府の平将明副大臣は、新潟から新しい農業モデルを開発し、全国に普及させていくことを目指すと述べた。農家の高齢化や格安輸入品などに押されて、衰退が懸念される農業だが、6次産業化によって「ビジネス」としての発展が期待されている。(編集担当:久保田雄城)

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