妖怪ウォッチ、アナ雪、永遠の0 年間書籍売上で見る今年の消費トレンド

2014年12月8日 12:12

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 11月30日、オリコン<4800>は2014年の書籍売上ランキングを発表した。集計期間は13年11月18日から14年11月16日。年末恒例となったこのデータから、1年間のトレンドを振り返ってみたい。

 書籍総合の第1位はゲームやアニメが大ヒットした「妖怪ウォッチ」の攻略本で、期間内推定売上は94万部。4位にも同ゲームの攻略本がランクインし、2冊合わせて150万部売上の大ヒットとなった。

 妖怪ウォッチの他にも、子どもをメインターゲットとした書籍の躍進が目立つ。代表格は大流行した映画「アナと雪の女王」の関連書籍だろう。偕成社出版の絵本は39万部売上で総合10位にランクイン。児童書の年間ランキングトップ10入りは史上初の快挙だという。絵本はさまざまな出版社から、細かく年齢層別の版などが多く出ることもあり、20万部以上を売り上げた「アナ雪本」は合計4点にも上った。

 文庫や大人向けのエンターテイメント小説に目を移してみよう。文庫では「永遠の0」(著・百田尚樹)が2年連続の首位。文庫のトップ20以内は、ほとんどが百田尚樹、東野圭吾、湊かなえ、池井戸潤の著作で占められた。いずれも映画化やテレビドラマ化でヒットを飛ばしている作品が多い。文芸単行本のトップも、ドラマ「半沢直樹」原作となったシリーズの最新作「銀翼のイカロス」(著・池井戸潤)だ。

 コミックは変わらず「ONE PIECE」(著・尾田栄一郎)が、期間内新刊いずれも250万部超えと圧倒的だが、他作品を寄せ付けなかったここ3~4年に比べると、「進撃の巨人」(著・諌山創)が期間内新刊で170万部超を記録し迫ってきている。ライトノベルジャンルでは、「ソードアート・オンライン」シリーズ(著・川原礫)、「物語」シリーズ(著・西尾維新)が昨年に続き強さを見せつけた。

 全体として、妖怪ウォッチやアナ雪関連書籍以外は、昨年や一昨年から人気のシリーズがロングヒットとなっているケースが多い。消費全体が落ち込んでいることもあり、トレンドの志向として、次々と新しいヒット作が生まれるというよりも、1つのコンテンツを長く楽しむスタイルが定着してきているのかもしれない。出版不況も長く続き、出口が見えないため、出版社側も新しい作品や著者で冒険するというよりも、すでに人気のあるシリーズでの堅実なヒットを狙っているようだ。

 一方、ネットで話題となったものが書籍化されるケースや、個人著作の電子書籍が大ヒットはせずとも固定客に売れ、新たなマーケットを見出すケースも増えてきている。そうした巨大なランキングには表れないヒット作も、今後はますます増えるのではないだろうか。そうした市場にも目を配りつつ、来年はどんなヒット作が生まれるのか期待したい。(編集担当:久保田雄城)

■関連記事
独自仕様スマホ事業が裏目 米アマゾン赤字10倍増
自炊代行に違法判決 だが電子化の波で著作権を守る難しさも
リアル・アマゾンは成功するか? Amazonがニューヨークに実店舗を出店予定
LINE、講談社・小学館らと提携しマンガ海外配信
少年ジャンプが本格的に電子配信開始 どうなる?雑誌のWEB化

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事