京大、自閉スペクトラム症患者同士は共感し合うことを明らかに

2014年11月7日 17:18

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ASD群がASD文を判断し、TD群がTD文を判断する際に、腹内側前頭前野が有意に活動した(京都大学の発表資料より)

ASD群がASD文を判断し、TD群がTD文を判断する際に、腹内側前頭前野が有意に活動した(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の米田英嗣特定准教授らによる研究グループは、自閉スペクトラム症(ASD)患者は、自身と類似したASD特徴がある人物に対して共感的な反応を示していることを明らかにした。

 これまでの研究で、ASDのある人たちは、ASDのある登場人物の記憶検索に優れていることが分かっている。しかし、ASDのある人たちは、ASDのある人について考える時に共感が起きているかどうかについては明らかになっていなかった。

 今回の研究では、ASDの成人15名とASDではない成人15名を対象に、「ASDの特徴がある人物の行動パターン記述文」と「ASDでない人物の行動パターン記述文」を読んでもらい、自分に当てはまるかどうかを考えてもらう実験を行った。その結果、ASDの人たちは、ASDの特徴がある人物を判断する際に、共感に関係する脳の腹内側前頭前野が有意に活動することが分かった。

 研究メンバーは、「これまで、ASDがある方は共感性が乏しいと考えられてきましたが、本研究において、ASDがある方はASDの行動パターンをする他者に対して、よく共感できるということが示されました。(中略)今後は、ASDがある方の他者理解方略を解明し、支援に役立てることをめざします」とコメントしている。

 なお、この内容は11月5日に「Social Cognitive and Affective Neuroscience」電子版に掲載された。

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