三菱樹脂、豪州に植物工場運営の現地法人設立 15年春から高級スーパーに販売

2014年10月21日 13:18

印刷

三菱樹脂がオーストラリアに設立した植物工場運営法人が採用している葉菜類養液栽培システム「ナッパーランド」(同社の発表資料より)

三菱樹脂がオーストラリアに設立した植物工場運営法人が採用している葉菜類養液栽培システム「ナッパーランド」(同社の発表資料より)[写真拡大]

  • 三菱樹脂がオーストラリアで運営する植物工場で生産された商品のパッケージ(同社発表資料より)

 三菱樹脂は20日、オーストラリア国内で7月31日に設立した現地法人「KAITEKI Fresh Australia Pty Ltd」を通じて、植物工場で栽培した安心・安全な野菜を生産から販売まで行う事業を開始すると発表した。同国ビクトリア州に約5,000平方メートルの太陽光利用型植物工場を建設し、2015年春から収穫した葉物野菜を現地の高級スーパー向けに販売するという。

 同社によると、同植物工場で栽培したホウレンソウやルッコラなどの葉物野菜が、現地の高級スーパーで販売されている露地有機栽培等の高品質野菜と同等の評価を得られたことから事業展開可能と判断し、7月31日に約10億円を投じて100%出資子会社の「KAITEKI Fresh Australia Pty Ltd」を設立した。

 まずオーストラリアのメルボルンやシドニーなど大都市圏を中心に野菜を販売し、同時にシンガポールやタイなど東南アジアの新興国で同事業展開を進めていくという。

 今回の事業開始に先立ち、同社の持ち株会社三菱ケミカルホールディングスの研究機関である地球快適化インスティテュートが、2011年3月に同国ビクトリア州政府と節水型農業研究に関する覚書を締結しており、2013年4月には同州政府ノックスフィールド農業試験場の一部区画に、太陽光利用型植物工場を導入し、実証実験を経て、4月から葉物野菜のテスト販売を行ってきた。

 植物工場は三菱樹脂グループの三菱樹脂アグリドリーム社の閉鎖型苗栽培システム「苗テラス」と葉菜類養液栽培システム「ナッパーランド」を組み合わせたもので、節水かつ安定的に、無農薬葉物野菜を周年供給することができるという。

 オーストラリアは、国土の大半が砂漠に覆われ、干ばつと深刻な水不足で農業生産に課題を抱えている。

関連記事