年金指数ランキング 日本はワースト3位を記録

2014年10月18日 22:52

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記事提供元:エコノミックニュース

 「グローバル年金指数ランキング(2014年度)」によると、日本のランキングは調査対象の25カ国中23位とワースト3であることがわかった。最下位から数えてインド、韓国に次ぐ得点の低さとなっている。評価が低いのは、年金制度の持続性に対する得点が低いこと、また“所得代替率”が低いことも大きな要因となっている。調査は組織・人事や年金、資産運用に関するサービスを提供するグローバル・コンサルティング会社のマーサーが行った。

 ランキングは2009年から始まり、今年で6年目。調査対象はアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、オーストラリア、中国など世界25か国で、全世界人口の60%をカバーする。公的・私的年金制度の積み立てや、個人貯蓄などの年金以外の資産についても評価をしているのが特徴。

 対象国の年金指数を、1)公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか(十分性)、2) 平均寿命と支給開始年齢の関係はよいか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか(持続性)、3) 年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか(健全性)――を指標に評価した。

 25か国中トップはデンマーク、2位がオーストラリア、3位オランダの順だった。トップ3は直近3年間の調査でいずれも同じ国がランクインしている。一方で、日本は調査開始の09年からほぼ毎年ワースト3内を推移しており、一貫して低評価となっている。

 日本の総合指数は12年、13年、14年ともに44.4であった。各項目の指数にもほぼ変化はなく、最も低い項目である”持続性”(Sustainability)は28.5、十分性(Adequecy)”の項目は48.0、”健全性(Integrity)”の項目指数は60.9であった。

 マーサージャパンの年金コンサルティング部門シニア・アクチュアリーの塩田強氏は「さまざまな項目の中で、総合評価への影響が大きい”所得代替率”(現役世代の年収と年金給付額の比率)が低いことが、総合評価が下位となる要因の一つとなっている」とコメントしている。

 さらに「現在の日本の年金制度は、マクロ経済スライドの見直し、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、高齢期の就労と年金受給の在り方など、数々の課題がある。今後、永続的に持続可能となる年金制度を構築するためには、これらの課題解決も含め、年金制度の改革を速やかに実行していくことが必要だ」と分析している。(編集担当:横井楓)

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