クリーンディーゼルは定着できるのか

2014年9月19日 12:57

印刷

クリーンディーゼルエンジン搭載モデルを設定するマツダの新型デミオ

クリーンディーゼルエンジン搭載モデルを設定するマツダの新型デミオ[写真拡大]

 今、クリーンディーゼルが注目を集めている。元来、我が国においてディーゼルエンジンは、貨物車両の原動機というイメージが強い。1990年頃までは乗用車としても相応の需要があったものの、次第にSUVのみに絞られるようになり、2007年秋にはすべての国内メーカーが製造を中止してしまった。求められる性能や価格の問題もあるが、なんといってもイメージの悪さが最大のネックだといえよう。振動音や乗用車としてのステイタス感の低さに加えて、1999年に石原都知事(当時)が訴えたPM(粒子状物質)などの有害廃出物問題が決定打になってしまったわけだ。

 しかし、欧州では必ずしもそうではない。とくに西欧では、乗用車の新車販売台数シェアが50%を超える国も複数ある。これは、燃費経済性に起因しているわけだが、わが国では走行距離が短いために、車両の割高感をカバーできないという事情があるのだ。一方、1985年に発売されてヒットしたいすゞのディーゼル乗用車「二代目ジェミニ」のような例もある。当時、同車を所有していたというドライバーはこう話す。

 「当時、流れていたCMを見て購入を決めました。デザインや走りのカッコ良さにひかれたのです。」

 このときのジェミニのCMは世界的に有名なカースタントチームによるもので、その斬新さが話題になっていたのである。

 2008年、厳しい排気ガス規制をクリアしたディーゼル乗用車が日産と三菱から発売された。2012年にはマツダも新開発のエンジンをひっさげて参入。さらに近年では、ベンツ・BMWといった輸入車もラインナップされてきている。これらは「クリーンディーゼル」と呼ばれており、そのメリットはCO2(二酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)・SOx(硫黄酸化物)・PM(粒子状物質)といった、有害廃棄物の排出量が少ないということだけではない。需要の多いガソリンの連産品であるために、余剰気味になっている軽油を燃料として使用し、生産バランスの調整ができるといったことなども挙げられている。

 このように、再び注目を浴びつつあるディーゼル乗用車であるが、このまま順調に普及が進むのかというと、必ずしも楽観視できる状況にはないと言われている。クリーンディーゼルを市場投入したカーメーカーの関係者の話はこうだ。

 「ライバルはハイブリッド車ですが既に市場を築いていますから、そこに食い込むためには対抗できる車種を育てる必要があります。しかし、出遅れ感は否めませんね。可能性があるとすれば、より多くのメーカーが参入して市場開拓をしてくれることなのですが…」

 現在、国内メーカーではマツダが一番積極的に展開しており、三菱ではパジェロが人気車種になっている。ホンダ・スズキ・富士重工は国内販売車の設定こそないが、海外向けには生産されている。しかし、トヨタはハイエースのみ。日産は先代のエクストレイルが継続販売されているものの、現行車には設定がない。

 新車市場がなかなか上向かない中、各メーカーは部品の共有化や車種の絞り込みなど、生産・開発の合理化を進めている。そのような状況下で、ハイブリッドとクリーンディーゼルの両方に経営資源を投下するのは、なかなか難しい状況にあるといえよう。当面は、グローバル市場の中で一定のシェアを得ることを優先し、その後にユーザーの一つの選択肢として日本市場における展開を図るというのが、クリーンディーゼル成功のプロセスとなるのではないだろうか。(記事:松平智敬・記事一覧を見る

関連記事