京大、従来の6倍以上の寿命を持つリチウムイオン電池を開発

2014年8月2日 14:35

印刷

LiFePO4の原子の一部を他の元素で置換した場合の体積変化の計算結果の一例。上部の長方体の各面に記載されている原子は、Liの置換元素(赤)、Feの置換元素(緑)、Pの置換元素(水色)を示している(京都大学の発表資料より)

LiFePO4の原子の一部を他の元素で置換した場合の体積変化の計算結果の一例。上部の長方体の各面に記載されている原子は、Liの置換元素(赤)、Feの置換元素(緑)、Pの置換元素(水色)を示している(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の田中功教授らによる研究グループは、高精度計算データを活用してリチウムイオン電池の寿命を従来の6倍以上にする材料を開発することに成功した。

 リチウムイオン電池は、携帯電話をはじめとするポータブル機器で広く使用されており、今後は電気自動車などの大型機器にも適用させることが期待されている。しかし、これまでの研究では研究者の勘と経験によって材料開発がおこなわれてきたため、最適な化学組成を見つけることがボトルネックになっていた。

 今回の研究では、量子力学の原理のみに基づいて、数千種類という元素の組み合わせの特性を網羅的に計算した。その結果、6種類の元素から構成される物質が有用であることを発見し、実際に資料を作製して検証をおこなったところ、サイクル寿命は従来の約6倍になることが明らかになった。

 研究メンバーは「本研究で発見された超長寿命リチウムイオン電池は、電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電などの大型機器に応用に適していますので、その技術開発も進めて行きます」とコメントしている。

 なお、この内容は8月1日に「Nature Communications」に掲載された。

関連記事