左手(非利き手)に右手よりも優れた能力があることが明らかに

2014年7月3日 17:26

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(A)負荷の向きと運動方向の関係(左腕で学習する場合)。右腕の運動方向が90度変化する度に左腕に加わる負荷の方向が反転する。(B)学習成績の比較。左腕で学習を行ったグループは、右腕で学習を行ったグループに比べて迅速に学習が進み、最終的に2倍の学習量を達成した(実線)。運動を学習するプロセスに左右非対称性が存在することを仮定した数理モデルによるシミュレーションは実験結果を良く再現した(点線)。(東京大学の発表資料より)

(A)負荷の向きと運動方向の関係(左腕で学習する場合)。右腕の運動方向が90度変化する度に左腕に加わる負荷の方向が反転する。(B)学習成績の比較。左腕で学習を行ったグループは、右腕で学習を行ったグループに比べて迅速に学習が進み、最終的に2倍の学習量を達成した(実線)。運動を学習するプロセスに左右非対称性が存在することを仮定した数理モデルによるシミュレーションは実験結果を良く再現した(点線)。(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 日本学術振興会海外特別研究員の横井惇氏らによる研究グループは、左手(非利き手)が右手よりも「反対の手の動きに合わせて柔軟に対応する能力」が優れていることを明らかにした。

 利き手が右手の人の場合、左手は右手のサポートをすることがしばしばあるが、これは左右の手の優劣を反映した結果なのか、それとも左右の手それぞれが持つ能力によるものなのかは分かっていなかった。

 今回の研究では、左右の手が連動する運動学習をおこない、右手の学習効果は左手の運動に干渉されないが、左手の学習効果は右手の運動から大きな影響を受けていることが明らかになった。さらに、ワインボトルの開け閉めのように、一方の手の運動に応じてもう一方の手が受ける負荷が変化する実験をおこなったところ、左手の方が学習が迅速に進み、その学習量は右手の2倍にまで達することが分かった。これらの結果は、両腕を動作させる運動においては、左手の方が反対の手の動作に応じて柔軟に運動を調節できることを示している。

 今後は、左右の手で役割分担が生じる仕組みの解明や、効果的なリハビリテーション方法の開発がおこなわれていくことが期待される。

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