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週刊ダイヤモンド今週号より~商社 資産入れ替え宣言!
*08:06JST 週刊ダイヤモンド今週号より~商社 資産入れ替え宣言!
資源バブルに沸き、毎年巨額の投資を続けてきた商社。しかし、資源価格が下落したことでその利益が剥がれ落ちた今、各社は低効率な資産の“入れ替え”にかじを切っています。エグジット(出口戦略)は苦手−そうしたイメージを払拭し“売却上手”に変わることができるのか、今週号の週刊ダイヤモンドは商社の取り組みを追っています。
6月初旬、丸紅<8002>本社で開かれた経営会議で松村CFOが目を凝らしていた提案は、事業部ごとに定めていた「投資」と「資産売却」の金額の枠を見直し、より広範囲な部門ごとのくくりに広げるというもの。範囲を広げることで、各営業部門により柔軟な資産の“入れ替え”を促すのが狙いです。
丸紅は2013年に保有株の大半を売却したダイエー<8263>のみならず、低効率で戦略に合わなくなった案件を売却し、得た資金をより収益性の高い事業への投資原資に回すことで資産効率の向上を目指しています。13年度には1400億円もの資金を回収しました。
こうした資産の入れ替え戦略を進めているのは丸紅だけではありません。他の商社も資産の「削減額」を明確な数値目標として掲げています。三菱商事<8058>は14年度に5000億円ほどの資産売却を見込み、三井物産<8031>も16年度までの3年間で合計7000億~9000億円の資金回収を予定しています。
過去数年、投資先行で商社各社の総資産は急拡大しました。ところが資源バブルがはじけて価格が下落、各社はその分の利益が剥がれました。結果的に資産効率を表すROA(総資産利益率)が年々低下傾向にあり、各社は一斉に既存案件のエグジットによる資金回収に乗り出したわけです。
では、商社各社はどのように資産の売却にこぎ着けているのでしょうか。丸紅では昨年から新たにポートフォリオマネジメント委員会を立ち上げ、現在までに10回以上経営陣が膝詰めの会議を行っています。その結果、「撤退・再構築」「見直し」に分類された案件は2割強に上るといいます。また三菱商事では、案件の利益から1円調達するのに何%のコストが掛かっているかを表す資本効率を引いて投資付加価値を測り、それが3期連続で赤字だった場合といった厳密なエグジットルールを定めて1つ1つの案件を管理しています。
どんな資産売却の絵を描くかは次の投資の原資の大きさを左右するだけに、ポートフォリオ経営の真価が試されると記事は指摘しています。《NT》
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