消費税増税本番の決算発表で増税メリット株に現実買いの第2幕目を期待=浅妻昭治

2014年4月7日 16:02

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

 新年度入りした4月相場の最大の相場イベントといえば、もちろん3月期決算会社の決算発表である。4月中旬以降に本格化する決算発表に先立って、終わった前3月期業績の最後の上方・下方修正や業績観測報道、さらには続く今3月期の業績見通し(ガイダンス)などを巡って、市場コンセンサスを上回ったか未達かを見極めて株価が、一喜一憂するのは毎年のこの時期の日常茶飯事である。

 まして今年は、4月1日に消費税率が5%から8%に増税され、5日には安倍晋三首相が、大手百貨店の店頭にまでお出ましになり、増税の影響を受けて「民の竈に煙が立ち上っている」か視察に及んだくらいだから、ことは、株式市場のイベントにとどまらず、国民経済的、政治的な一大マターとして企業業績の動向に焦点が集まるわけである。

 その今年の3月期決算の発表は、初手からいつもと様子が違うようである。毎年、4月相場入りの初日の寄り付き前に決算発表の一番乗りを競ってきた2社の決算発表が、例年以上にズレ込んだのだ。あみやき亭<2753>(東1)の決算発表は、1日後場取引時間中の13時30分で、このところ新年度初日の7時30分に決算を発表してトップを走ってきたアドヴァン<7463>(東1)に至っては、4月2日の後場13時30分と遅れ、あみやき亭に1日間の後塵を拝してしまった。今期業績のガイダンスでは、あみやき亭が減益転換を予想、アドヴァンは小幅続伸を見込んで増減益がマチマチとなったが、いずれも市場コンセンサスは下回り、株価も、もみ合いとこれまでの業績相場発進の露払い役を務める展開にはなっていない。

 この3月期決算会社の決算発表に先立って、2月期決算会社の決算発表もたけなわとなり、4月3日に決算を発表したセブン&アイ・ホールディング<3382>(東1)は、今2月期純利益が3期連続の過去最高となるとガイダンスしたが、株価は、市場コンセンサスを下回ったとして下ぶれてしまった。また前週末4日には、吉野家ホールディングス<9861>(東1)が、昨年10月に下方修正した前2014年2月期業績の一転した上方修正を発表、純利益の黒字転換幅を拡大したが、4月15日に予定している決算発表に際しての今2月期業績のガイダンスの動向を含めて、週明け7日以降の株価反応が注目されることになる。

 要するにこれからの決算発表に先立って業績上方修正や業績観測報道などがあるとして、その修正分、上ぶれ報道分にはどの程度の消費税増税の駆け込み需要分が上乗せとなっていて、そのいわば仮需分、先食い分が、今期業績でどの程度、剥落して押し下げ要因となるか予断を許さないということで、前週末4日までの決算発表の初動段階は、企業業績そのものに警戒が怠れない展開を示唆しているということに違いない。

 しかしである。仮に今期業績のガイダンスが、軒並み市場コンセンサスを下回って株価が不調となったとしても、駆け込み需要の反動減による落ち込み規模が、それだけ大きくなったとして、それはそれで日銀の追加金融緩和策が発動される引き金になり、株価持ち直しをサポートする展開も有力視されることになる。どっちに転ぶかは予断を許さないものの、この仮説に基づけば消費税増税関連の妙味株に再注目する投資スタンスは十分に有効となるはずである。そこで今年1月以来、消費税増税で逆にメリットを享受する銘柄として理想買い相場を展開、その後、調整局面にある銘柄に現実買い相場の2幕目の開幕を期待して、アプローチしてみたい。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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