トヨタ、09~10年のリコール問題で米当局と和解 1200億円支払い

2014年3月21日 12:22

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 トヨタ自動車は、2009年~2010年に「アクセルペダルの戻り不良」及び「フロアマットのアクセルペダルへの引っ掛かり」の両リコールを実施した。今回、これに関連した米国ニューヨーク州南地区連邦検事局の調査について同局と合意に至り、12億ドル(約1,228億円)の支払いに応じる決定をしたことを19日に発表した。

 このリコールは2009年、アメリカで発生したトヨタ車運転中の急加速事故に端を発したものだ。その後、損害賠償等の集団訴訟が行われたり、米政府機関が調査・捜査に踏み切ったりするなど大きな騒動に発展し、「トヨタバッシング」と呼ばれた。

 同社はこの問題に対して「ユーザーからの品質に関する懸念を迅速に調査できるように体制を強化」「5000万ドル(約51億円)を投資して2011年にCollaborative Safety Research Center(先進安全技術研究センター)を米国ミシガン州アナーバー市に設立。同センターでは、北米の延べ16以上の大学・研究機関と共同で、自動車産業及び交通社会全体に利益をもたらす先進安全技術を研究を行う」「ユーザーへの対応を改善するため、『技術分室』を拡充」「現地人材を北米事業のCEOに任命すると共に、各地域にCQO(チーフ・クオリティ・オフィサー)を指名」「品質管理プロセスを改善」「車両の信頼性・安全性をより確実に担保するため、新型車の評価期間を4週間延長」といった対策を独自に実施してきている。

 今回の合意を受けて同社の北米統括会社Toyota Motor North America, Inc.のチーフ・リーガル・オフィサーであるクリストファー・レイノルズ氏は「当時、我々はお客様の不安に責任を持って対応するとともに、お客様の信頼を得るため力を尽くした。今日までの約4年間、トヨタは『お客様第一』という基本理念に立ち返り、トヨタのグローバルオペレーションを抜本的に改革することで、お客様の声をより良く聞き、積極的に対応する企業となるよう努めてきた。今後もトヨタ及びトヨタ車を変わらず信頼いただけるよう、できる限りの改善を続けていく。トヨタは『アクセルペダルの戻り不良』、『フロアマットのアクセルペダルへの引っ掛かり』に有効な処置を行っており、ここであらためて、トヨタ車の安全性と品質についてお約束申し上げたい。今回の合意は難しい決断だったが、未来に踏み出すための重要な一歩と考えている。お客様に『トヨタは安全・品質に力を入れ、社会的責任を果たしている企業である』と安心していただけるよう、今後も努力していく所存である」とコメントした。

 なお、連邦検事局は、トヨタによる12億ドルの支払い、契約条件の遵守、政府への協力継続を条件に、裁判手続の延期及びその後の取り下げに合意している。また、トヨタは独立モニターにより、安全関連の情報提供に関する社内規則や手順、車両事故情報の社内展開プロセス、一定の技術報告書の作成や展開のプロセスに関して確認を受ける。

 トヨタは、平成26年3月期において、本合意に関する費用を12億ドル計上する。(記事:松平智敬・記事一覧を見る

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