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オプト Research Memo(4):電通向けの商流が一部を残し無くなった事が減収減益の要因
*17:46JST オプト Research Memo(4):電通向けの商流が一部を残し無くなった事が減収減益の要因
■決算動向
(1)2013年12月期決算
1月31日付で発表された2013年12月期の連結業績は、売上高が前期比14.3%減の67,624百万円、営業利益が同13.7%減の1,300百万円、経常利益が同18.5%減の1,105百万円、当期純利益が同26.5%減の610百万円となった。減収減益の要因は、電通向けの商流が第2四半期より一部を残して無くなったなくなったことによるもので、影響額としては売上高で約17,00百万円の減収要因となっている。この電通向けの影響を除いたベースでみる見ると、売上高は前期比8%増、営業利益は同35%増と増収増益を維持している。
実質、増収増益を維持したとはいえ、会社計画に対して見ると売上高、利益ともに大きく下回る格好となっている。計画を下回った要因は大きく2つある。第1に、広告・ソリューション事業において、広告運用ツールのシステム移行を第3四半期(7-9月)に行ったが、その移行期間が想定以上にかかりコスト増要因となったこと、また、移行期間中における受注獲得の機会ロスが発生したことが挙げられる。システム移行が必要となった背景は、ある大手検索サイト会社で広告運用に関連するデータの形式を変更したことが契機となっている。この変更が2013年第3四半期に実施されたが、これに伴い同社側でも新システムに対応する必要が出てきたというわけだ。既に、システムの移行は完了しており、受注活動も正常化していると言う。
また、第2の要因としては、同じく広告・ソリューション事業において、受注競争が激化するなかで収益性悪化を改善するため、売上高の増加よりも収益性重視の方針に切り替えたことが挙げられる。競争が激化するインターネット広告市場では、売上高を伸ばす手段として売価の値引きが行われるケースが多いが、一方でコストの大半を占める広告枠の仕入れ価格は一律で固定されているため、値引きは利益率の低下に直結することになる。今回、システム移行の影響で受注機会ロスが発生するなかで、価格を引き下げて売上げを確保するという選択肢もあったわけだが、同社では収益性の悪化を食い止めることを優先したとみられる。
実際、四半期ベースの収益を見ると第3四半期以降、売上高は前四半期比で減少しているが、利益は第4四半期(10-12月)にわずかながら増益に転じており、(第1四半期は電通商流分の売上高約7,000百万円が含まれている)、収益性重視の取り組みが若干ではあるが数字となって表れてきていると言え、2013年第4四半期の連結売上総利益率は、第3四半期比で改善している。
販管費が前期比で1,175百万円増加しているが、この増加要因の約6割は人材投資の積極化に伴う人件費の増加となっている。また、特別損益項目では、ホットリンク株の売却益を中心に特別利益を1,202百万円計上。一方で、貸倒引当金や有価証券評価損・売却損など特別損失を679百万円計上した。
事業別の動向は以下の通りとなっている。
○広告・ソリューション事業
広告・ソリューション事業の当期売上高は前期比18.6%減の58,414百万円、営業利益は同64.4%減の706百万円となった。会社計画に対しては売上高で5,000百万円、営業利益で650百万円の未達となったものと想定される。売上高の状況を見ると、オプト<2389>単体では前述した通り第2四半期(4-6月)以降、電通<4324>商流分(ディスプレイ広告)がなくなったことで約17,000百万円の減収要因となったが、この影響を除くと1ケタ台の増収となっている。顧客業種別では金融、人材、情報・通信業からの出稿が拡大した。不動産については、市況そのものは好調だったが、販売期間の短期化で広告出稿期間も短くなったことが影響した。
一方、連結子会社では、Yahoo!不動産の広告を扱うクラシファイドが前期比20%増、中堅・ベンチャー企業向けインターネット広告を扱うソウルドアウトが同25%増と2ケタ成長を持続。また、エスワンオーインタラクティブのトレーディングデスク事業も、アドネットワーク広告市場の拡大を背景に同80%増と高成長が続いた。クロスフィニティもアフィリエイト広告が新規開拓も含めて順調に拡大した。
利益面ではオプト単体が広告運用ツールのシステム移行に伴うコスト増や、受注機会ロスの発生により減益となったほか、連結子会社でもクラシファイドやソウルドアウトが先行投資費用の増加により減益となった。クラシファイドではYahoo!不動産における新サービス(中古物件情報)開始に対応した投資費用が、ソウルドアウトでは事業拡大のための人員増強(2013年4月に約50名採用)による人件費増加が減益要因となった。
なお、これらの減益要因はあくまでも一時的な要因であったことには留意したい。広告運用ツールのシステム移行は既に完了しているほか、クラシファイドにおける投資費用も一巡し、2014年1月より新サービスが開始したことで、既に収益回収ステージに入っていること、ソウルドアウトにおいても2013年採用人員の戦力化によるコスト吸収フェーズに入っていることに加え、2014年春の新規採用数は例年並みに落ち着き、人件費の増加ペースは鈍化するとみられるためだ。
○データベース事業
データベース事業の当期売上高は前期比15.6%増の3,132百万円、営業利益は同57.0%増の453百万円となった。2ケタ増収増益と数字上は好調を持続したかに見えるが、会社計画比では売上高で2,000百万円、営業利益で200百万円程度下回る格好となったものと想定される。子会社のPlatform IDで手掛けるターゲティング広告の配信システムである「Xrost」シリーズが伸び悩んだためだ。「Xrost」のパフォーマンスが、競合他社のシステムと比較してやや下回っていたこと、2013年4月よりサービスを開始した「Xrost DMP(データマネジメントプラットフォーム)」の収益化が想定よりも遅れたことも計画未達の要因となった。
「Xrost」シリーズのパフォーマンスに関しては、処理速度とマッチング率が性能を決める重要な要素となっている。アドネットワーク市場においてターゲティング広告を配信する際には、所望の広告枠をセリで瞬時に落とす必要があり、システムの処理速度が遅いと、所望の枠をセリ落とすことができず、全体のパフォーマンスに影響することになる。また、セリ落としたとしても、その配信先が本当に広告主のターゲットとなるオーディエンス(広告の受け手)であるかどうか(=マッチング率)も重要となる。ターゲット外のオーディエンスに配信しても、コンバージョンレート(ネット広告を配信することによって、商品購入や会員登録などの最終成果が得られる率)は上がらないためだ。結果的に、システムの処理速度やマッチング率の性能がシステム全体のパフォーマンスを決定づけ、広告主側にとってみれば広告の費用対効果に影響を及ぼすことになる。
同社では、現在「Xrost」の性能向上や機能拡充を進めており、2014年前半までには開発を完了する予定となっている。改善ポイントについては既に把握しており、2014年後半からの拡販に注目したい。
なお、当期の業績にはホットリンク<3680>の単独業績(売上高915百万円・前期比43.1%増、営業利益151百万円・同192.3%増)が含まれている。
○ソーシャル&コンシューマ事業
ソーシャル&コンシューマ事業の当期売上高は前期比9.2%増の2,365百万円、営業利益は29百万円(前期は590百万円の損失)と3期ぶりの黒字に転換した。売上高に関しては子会社のモバイルファクトリーで展開するゲームアプリやコンテンツワンのアプリ開発が堅調に推移した。また、増収効果に加えてソーシャル事業において人員を主に広告・ソリューション事業にシフトさせるなど費用削減を進めたことで収益性が改善した。
○海外事業
海外事業の当期売上高は前期比32.8%増の3,488百万円、営業損失は165百万円(前期は162百万円の損失)となった。韓国のインターネット専業代理店であるeMFORCEが韓国の景気低迷等により低迷した。また、2012年第2四半期から連結子会社に加わった韓国のChai Communicationは、2013年第4四半期より持分法適用関連会社へ異動している。新規連結対象として、第4四半期より台湾のインターネット広告運用会社であるglocomが加わっている。
○投資育成事業
当期より新規セグメントとして追加された投資育成事業は、既存保有上場株式の売却を行ったことで、売上高が599百万円、営業利益が273百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《FA》
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