オプト Research Memo(3):広告・ソリューション事業を主軸に、前期より投資育成事業が加わる

2014年3月7日 17:45

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記事提供元:フィスコ


*17:45JST オプト Research Memo(3):広告・ソリューション事業を主軸に、前期より投資育成事業が加わる

■事業概要

(2)事業内容

同社の事業セグメントは、広告・ソリューション事業、データベース事業、ソーシャル&コンシューマ事業、海外事業に加えて、2013年12月期より新たに投資育成事業が加わった。以下に各セグメントの事業内容を簡単に紹介する。

○広告・ソリューション事業
広告・ソリューション事業は同社の主力事業となっており、連結業績に占める構成比(2013年12月期)は売上高で86%、営業利益で54%となっている。主にインターネット広告販売及び広告制作、ウェブサイト開発、SEOソリューションサービス、eマーケティングを支援する各種ソリューションサービスなどが含まれている。会社別ではオプト<2389>単体のほか、連結子会社のクラシファイド、クロスフィニティ、ソウルドアウト、エスワンオーインタラクティブなどが含まれる。

インターネット広告販売高ではサイバーエージェント<4751>に次いで業界2位クラスとなっている。専業ではアイレップ<2132>、セプテーニ<4293>と並ぶ大手の一角を占めている。業界シェアに関しては、推計で10%弱程度とみられる。

2013年4月以降、業務提携の一部変更に伴い、電通向け商流(バナー広告に代表されるディスプレイ広告)が無くなっている。このためオプト単体でのネット広告はディスプレイ広告の比率が減少し、リスティング広告やアドネットワーク広告を中心とした運用型広告の比率が大半を占めるようになっている。なお、 売上高営業利益率はここ数年1~2%台と低い水準にあるが、これは有力媒体がYahoo!<4689>やGoogleなど限られるなかで、ディスプレイ広告(純広告)など非運用系広告は粗利率が比較的高いものの業界全体で減少傾向なことに加え、リスティング広告などの運用型広告においては運用オペレーションが年々複雑化し、利益率を高めにくいことが背景にあると考えられる。このため、同社ではターゲティング広告や動画広告など付加価値の高い自社商材の強化に注力している。

業種別売上構成比で見ると、金融系がもっとも多く直近四半期(2013年10-12月)では31%を占めており、次いで化粧品・美容業、不動産、情報・通信業となっている。

連結子会社の主な事業内容は、クラシファイドがYahoo!不動産向けの不動産物件広告販売、クロスフィニティがSEO対策などのコンサルティング業務及びアフィリエイト広告運用、ソウルドアウトが中小企業・ベンチャー企業向けのネット広告代理販売、エスワンオーインタラクティブがアドネットワーク広告における運用コンサルティング、トレーディングデスク業務をそれぞれ手掛けている。

○データベース事業
データベース事業が連結業績に占める構成比(2013年12月期)は、売上高で5%、営業利益で35%となっており、利益率は14.5%と同社事業の中では収益性の高い事業となっており、収益の第二の柱に成長している。オプト単体で、インターネット広告の効果測定システムやサイト内解析システムなど「ADPLAN」シリーズの販売を行っているほか、子会社のPlatform IDでターゲティング広告の配信ツールとなる「Xrost(クロスト)」シリーズの開発・販売、Consumer firstでデータ分析によるマーケティング支援サービス事業を行っている。また、2013年12月末で株式上場により連結対象から外れたホットリンクの業績も2013年12月期には含まれている。

2013年12月期の売上高構成比は「Xrost」関連が約50%、「ADPLAN」およびその他子会社で約50%の売上と想定される。「ADPLAN」に関しては販売開始から約12年間で顧客企業約2,000社に導入されており、膨大なデータベース(利用者のインターネット上の行動履歴データ:Cookie)を蓄積しており、Xrostと連携し精度の高いターゲティング広告を配信できることが強みとなっている。

同事業の収益性が高い要因としては、これら事業が自社で価格決定権を持つ商材であり、また、広告・ソリューション事業のような労働集約型事業ではなく固定費もほぼ一定となっていることで、売上高の拡大とともに収益率も上昇するビジネスモデルとなっているためだ。

○ソーシャル&コンシューマ事業
ソーシャル&コンシューマ事業は子会社のモバイルファクトリーで展開するゲームアプリの開発販売やその他モバイルコンテンツの提供、コンテンツワンによるWebアプリケーション系に特化した開発・コンサルティング、マルチメディアスクール・ウエーヴウェーヴによるIT-Web系に特化した技術者育成事業が含まれている。連結業績全体に占める構成比(2013年12月期)は売上高で3%、営業利益で2%となっている。

○海外事業
海外事業では韓国の子会社eMFORCE.でインターネット広告サービス、OPT Americaで米国展開及び情報収集を行っているほか、2013年12月期より新たに子会社化した台湾のglocomでインターネット広告の運用事業などを展開している。また、2013年第4四半期より韓国のインターネット広告会社、Chai Communicationを連結子会社から持分法適用関連会社に変更している。

海外事業の連結売上高構成比(2013年12月期)は5%となっているが、営業利益は若干の損失となっている。韓国の子会社が韓国国内景気悪化の影響を受けたことに加え、海外におけるインターネット業界の市場・技術動向の情報収集など、一部コストセンター的な部門を担っていることが要因となっている。

○投資育成事業
2013年12月期より新たに事業セグメントとして追加された。国内外におけるインターネット関連企業への投資育成を行い、投資先の事業に対して同社が持つヒト・モノ・カネ・情報といった資産を有効活用し、当該企業の育成と同時に企業価値を高め、IPOなどによって投資資金を回収するビジネスモデルとなる。一般的なベンチャーキャピタルと違って、インターネット業界で実際にビジネスを展開していることを強みとして、有望なベンチャー企業の発掘・育成を行っていき、オプトグループとのシナジー創出を目指す。

また、今後も継続的に利益創出を行うため、積極投資を進める予定だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《FA》

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