オプト Research Memo(5):キャッシュリッチで安全性を示す流動比率や自己資本比率は良好

2014年3月7日 17:45

印刷

記事提供元:フィスコ


*17:46JST オプト Research Memo(5):キャッシュリッチで安全性を示す流動比率や自己資本比率は良好

■決算動向

(2)財務状況と経営指標
2013年12月末の財務状況については表の通りで、ホットリンク<3680>が12月末で連結対象から外れたことで、同社<2389>分が控除された数値となっている。また、当期より投資育成事業を新たに追加したことで、同事業において投資している有価証券を営業投資有価証券として流動資産に計上している。

総資産残高としては前期末比で2,817百万円増加の39,656百万円となった。このうち、流動資産は営業投資有価証券9,142百万円の計上により、前期末比で3,877百万円増の32,430百万円となった。営業投資有価証券には6銘柄が含まれており、このうちホットリンクの株式で約8,800百万円となっている。

負債は前期末比で2,729百万円減少の14,489百万円となった。主な減少要因は売上の減少に伴う支払債務の減少によるものとなっている。一方、純資産は前期末比で5,547百万円増加の25,166百万円となったが、これはその他包括利益累計額がホットリンク株の含み益計上によって同5,589百万円増加したことによる。

主要経営指標をみると、経営の安全性を示す流動比率や自己資本比率、D/Eレシオともに良好な水準であり、また、ネットキャッシュ(現預金・有価証券—有利子負債)も13,000百万円を超え、総資産の過半を占めるなど財務の健全性は極めて高いと判断される。一方収益性に関しては、ROA、ROEともに前期から低下、売上高営業利益率に関しては1.9%と前期並みの水準となっており、いずれも水準としては低く、今後の収益性向上に向けた取り組みが経営課題と言えよう。

なお、同社は2014年2月24日付でTOB(株式公開買い付け)による自己株式取得を発表した。現在、第3位の株主となっているカルチュア・コンビニエンスクラブ(以下CCC)が保有する364万1,000株(出資比率12.37%)を792円で買い付ける。自己株式取得の上限としては370万100株、取得価額の増額は2,930百万円を設定し、買い付け期限は3月25日としている。

CCCとは2010年12月に資本・業務提携契約を締結し、合弁会社の設立(Platform ID)や、CCCが運営する「Tポイントカード」「TSUTAYA」などの顧客基盤システムと同社のeマーケティングサービスの連携を進めるなどしてきた。今回のオプト株の売却は、CCC側より資金の効率的な活用を目的に売却の申し出があったことに伴うものである。今回の株式売却により、オプトとの資本関係は解消するものの、Platform IDの出資比率に変更はなく、引き続き両社の友好的な関係は継続する。

なお、今回の株式取得によって最大2,930百万円のキャッシュアウトが想定されるが、ホットリンク株の売却益などもあり、財務の健全性並びに安定性は変わらないものとみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《FA》

関連記事