日本版「ミケランジェロ・プロジェクト」 100歳米国人の功績とは?

2014年2月6日 16:50

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記事提供元:NewSphere

 ユタ大学名誉教授パトリック・レノックス・ティアーニー氏は、終戦後占領下の日本において美術、文化遺産の修復と保存に努めた人物である。現在に至るまで、アメリカ国内において日本の芸術への理解を深めることに貢献してきた。ソルトレイク・トリビューン紙は、近日公開予定の映画『ミケランジェロ・プロジェクト』(The Monuments Men)が舞台こそ違え、先週100歳を迎えた氏の人生そのものであると述べた。

【戦後日本の美術、文化遺産の保護に努める】

 ティアーニー氏が東洋に興味を持つようになったのはごく若いころで、両親の影響があったという。大学に入ってからは東洋美術という専攻を自ら創設した。卒業後、軍の技術研修クラスを師事していたときに突然の任務を言い渡される。24歳のときに22カ月に及ぶ研修を終え、日本での任務に従事することになった。

 1947年連合軍最高司令官マッカーサー元帥のもと、米海軍の美術・記念碑担当弁務官として従事した。第二次世界大戦で破壊された日本国内の美術・記念碑、文化遺産の修復と保護が任務だった。日本人は氏を温かく受け入れたという。当時の日本人は、「日本の歴史と遺産保護のために立ち上がってくれる人物を求めていた。」とティアーニー氏はソルトレイク・トリビューン紙に語った。

【氏が評価する日本の美術】

 保存の対象は絵画や彫刻ばかりではなく、日本庭園にも及んだ。ティアーニー氏は、独特な歴史的芸術と評価し国内の庭園を訪ね歩いた。現在でもサンディエゴの日本庭園再建委員のメンバーであるとともに、日本友好庭園評議会の一員として日本庭園の美しさを紹介している。

 氏によって保護された数千に及ぶ美術品の中に、説法を説く僧の彫像がある。口から小さな仏像の並んだ銅線が出ており、「音を視覚的に表現している唯一の彫像」であると氏は高く評価する。もとは京都六波羅密寺にあり、破壊されることを恐れた人々が隠していたが、氏の管理下で再び持ち出された。

 一方で永遠に失われたものもある。ソルトレイク・トリビューン紙によると、ティアーニー氏が東京で出会った茶の大家は、根付(江戸時代、小物を紐で帯から吊るす際に用いられた留め具)の有数な収集家であとともに、絵画、彫刻も収集していた。「日本最高のコレクション」と氏が称したコレクションの数々は、爆撃により全て破壊されてしまったという。

【現在の美術分野における功績】

 氏は任務後も日本に留まり、日本美術の研究を続けた。またアメリカンスクールの美術分野において、在日米国人の日本の歴史と文化に対する理解増進に努めた。2007年秋、日本政府は日本美術の紹介に貢献した功績を称え、ティアーニー氏に旭日中綬章を授与した。

 現在に至るまでアメリカ国内での日本美術に関する知識の伝播に努め、年1回の来日を通して、美術分野における日米間の交流に貢献している。

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