IPO再開接近で直近IPO銘柄から「家貧しくして孝子出ず」の「孝子」銘柄をセレクト=浅妻昭治

2014年2月3日 11:16

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  年齢は30歳、才色兼備の女性研究者が、ドえらいことをやってくれた。理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーによる「STAP細胞」の作製である。細胞生物学の常識にチャレンジし覆し、まったく新たな作製メカニズムを発見して成功した万能細胞の作製であり、iPS細胞作製でノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授を上回るノーベル賞の早期受賞の下馬評も高まろうというものである。

  当然、マスコミの報道合戦も、テレビ、新聞、スポーツ新聞まで巻き込んでヒートアップしているが、兜町も、マスコミの過熱報道に眉を顰めるのでなく、負けずに小保方晴子ユニットリーダーに感謝状の乱発するぐらいの賞賛をしなくてはならないはずだ。というのも、全般相場は、新興国経済の先行き懸念で一気にリスクオフとなり、日経平均株価の1月の月足が、920円幅の大陰線を引いた。そのなかで突如、出現した「STAP細胞」の作製成功がサプライズとなってJCLバイオアッセイ <2190> (JQS)、新日本科学 <2395> (東1)、DNAチップ研究所 <2397> (東マ)などのバイオ関連株全般のストップ高を牽引し、市場からの投資資金の流出を食い止めてくれたからだ。

  現在、東京都知事選挙を戦っている細川護煕元首相が、「脱原発」を旗印に立候補を表明してから、再生可能エネルギー関連株が、幅広く連日、ストップ高を繰り返したことに続くサプライズ相場である。まさに再生可能エネルギー株も、「STAP細胞」関連株も、「家貧しくして孝子出ず」の諺通りの「孝子」銘柄の展開となっている。

  さて2月相場である。全般相場がリスクオンに傾くなか、第3、第4の「孝子」銘柄が飛び出しくれるかどうかが、相場全般の不安定性、市場参加者のリスクオフの投資判断を和らげるうえで大きなポイントとなる可能性がある。そこで注目したいのがIPO(新規株式公開)である。昨年12月24日から休止期間となっていたIPOは、いよいよ今年2月13日のアキュセラ <4589> (東マ)の新規上場から再開され、3月6日上場のサイバーリンクス <3683> (JQS)と続く。IPOは、昨年10月以降も、「IPOバブル」と形容されるほど初値倍率が3~5倍と高人気化する銘柄が続出し、日経平均株価が1万4000円台を出没して調整した相場全体にカツを入れ、大納会に1万6320円の昨年来高値をつける引き金となった。当然、今年も相場が展開難となっているなか、再現が期待されることになる。

  もちろん今年のIPOは、昨年の54社を上回る70~80社に拡大すると観測されているが、まだ正式に上場が承認されているのは2社にとどまり、相場全般を牽引するのは多勢に無勢であることは否定できない。ということは、IPO人気の再燃には助っ人が必要で、その役を担うのが直近IPO株となるはずだ。現に再生エネルギー関連株相場では、昨年10月8日IPOのエナリス <6079> (東マ)が、今年1月に上場来高値を更新し関連株買いに勢いをつけ、同8月29日IPOのN・フィールド <6077> (東マ)も、同じく独自ビジネスモデルを見直し最高値を更新した。

  ただリプロセル <4978> (JQG)のように、iPS細胞関連の本命株にもかかわらず、今回の「STAP細胞」ではほとんどカヤの外に置かれたケースもあり、注意が必要である。要するに昨年IPOされた54社もすべて無差別に直近IPO株人気が期待できるわけではなく、選別買いが不可欠ということである。株主還元策、業績動向、投資採算などをポイントとして取捨選択することでより好パフォーマンスの銘柄に照準を絞る込めることになるはずである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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