ウォーターD CORPORATE RESEARCH(6):業績見通し修正は第2ステージへの転換期を示唆

2014年1月31日 19:11

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記事提供元:フィスコ


*19:11JST ウォーターD CORPORATE RESEARCH(6):業績見通し修正は第2ステージへの転換期を示唆

■TOPICS 1

◆11月に業績見通し下方修正を発表。株式市場は厳しい反応を示す

11月7日、ウォーターダイレクト<2588>は業績見通しの下方修正を発表している。第2四半期(上期)実績はほぼこの線に沿った内容であったため、当初予算には未達となったものの、決算そのものに株式市場でサプライズが生じることはなかった。しかし、決算に先駆けたこの下方修正発表時には株価が大きく下落。それ以降も株価は低調な推移を余儀なくされており、概して株式市場は厳しい反応を示している。事業環境の変化による業績見通しの修正は一般に多々あることながら、上場後の最初の決算期で見通し下方修正というのは決して胸を張れることではない。まして上場して日がまだ浅い状況では、投資家が同社との間にどれだけ信頼関係を構築できるかどうかを見極める時期でもある。この手探り段階での見通し修正は残念という他あるまい。実際、経営陣も同様の認識にあり、決算説明会の場ではこの点に言及したうえで、不本意であった心情を吐露している。

◆特に、第2四半期の業績がかなりの期待未達に。需要期の失速で、株式市場ではリスクチェックシステムに対する不安が台頭。信用回復は経営陣の喫緊の課題に

下方修正の内容は下表の通り。通期見通しで売上高を3.9億円、営業利益を1.5億円、それぞれ減額。その過半は上期の想定下振れが大きく影響するとの見方に修正されている。この時点で第1四半期は既に公表されていたことを考えれば、第2四半期の業績がかなりの期待未達となっていた状況は明らかであろう。このことは、投資家にとっても大きなサプライズであった。そもそも第2四半期は夏場であり、一人当たりの飲料水需要や宅配水契約数の増加が期待されていた。にもかかわらず、見通し減額修正の主因となったためである。さらに、そういった需要期の追い風に乗りきれなかったことは、同社の経営戦略、ビジネスモデル、リスクチェックシステムに対して不安が露呈することにもなった。当然、これら懸念に対する早期の信用回復は経営陣に課せられた喫緊の使命となる。

◆需要期の期待未達は、異常気象と販売競争の激化によるもの

問題は、何故猛暑という追い風があった中、需要期の売上が当初計画に達しなかったのか、である。経営陣はこの理由として、(1)水分よりも塩分摂取が奨励されるほどの酷暑であり、外出抑制などで水消費はそれほど増加しなかった、(2)競合企業との顧客獲得競争が激化し、市場獲得のハードルが高まった、の2点を挙げている。前段の業績概要でも触れたが、(1)は一件当たりの宅配水消費量が減少していたという事実に対応しており、(2)はクリティアブランドの期末顧客数が当初計画値を若干ながらも下回ったという事象に対応するものである。

このうち、天候要因は予測不可能であり、殊更に懸念すべきものではあるまい。より注視すべきは顧客獲得競争激化といった点であろう。積極的な販売姿勢を見せた競合他社は、(ウォーターダイレクトを含む)先行企業と価格設定は大差ないものの、メディアなどを通じて積極的な広告宣伝を展開。知名度をテコに顧客開拓を急ぐ戦略を採った模様である。また、コンビニなどでは大容量ペットボルトのミネラル・ウォーターで安売りが急増し、持ち帰りを厭わない消費者がそれらを志向したという面もあったと考えられる。

◆販売環境の変化に対し、結果的に対応は後手に回った印象は拭えず

常識的に考えて、こういった事業環境の変化を同社自身が早期に気づかないはずはない。これらに対抗して販促費用を大幅に上乗せするか(その結果、コスト上昇から利益面ではより大きな減額修正を招くことになる)、上場後間もないことから業績見通しの修正を避け、現状予算内での対応とするか、経営陣は悩んだに違いあるまい。現実には後者の選択となり、しかし、結果的に業績修正も余儀なくされる、という経営陣にとっても「不本意」な結果になったものと推定する。

◆このことは、ベンチャーであり、チャレンジャーであったはずの同社が守勢に回ったことを示唆。これまでとは違う視点の経営オプションが必要に

これは換言すると、競争条件における同社の立ち位置の変化と言うこともできる。同社は、創業以来、チャレンジャーとしてワンウェイ方式やデモ販売など独自色の強い施策を武器に先行企業への追い上げを図ってきた。しかし、今回は競合企業の攻勢を受ける守勢側に立ったということとなるためである。この立ち位置の変化は十分予想されていたことながら(2013年10月25日付本レポート参照)、想定を大きく上回るペースで現実のものとなってきたと言えよう。これは同社が既に市場大手の地位に達したことの証左ではあるものの、これまでとは違う視点の経営オプションが早くも必要となってきたことを示唆している。

◆先行他社も同様の状況だが・・・

当然、先行他社は同様の状況にある。宅配水市場で最大のシェアを持つナック(宅配水ブランドはクリクラ)では、2013年度上期の宅配水事業が売上で10億円(12.6%)、営業利益で1億円の想定未達。前年同期比でも売上横ばい、営業減益を余儀なくされている。同じく競合他社であるトーエルも(宅配水ブランドはアルピナなど)、計画との対比はできないものの、前年比では減収減益にある。

◆・・・同社は依然としてチャレンジャーとしての勢いは健在。余力を持って次の経営オプション(第2ステージ)を準備する好機に

しかし、そういった中、ウォーターダイレクトは前年比で依然として大幅な増収増益にあり、チャレンジャーとしての勢いはまだまだ十分にあることも事実である。このことは余力を持って次の経営オプションを準備できるという好機であると言えよう。このまま、徐々に守勢側への立ち位置変化を志向するのか、潜在需要の大きい宅配水市場で再度チャレンジャーとしての立ち位置を志向するのか。創業来、資金繰りに苦心しつつ拡大戦略を採ってきたウォーターダイレクトは既に黎明期を終え、第2ステージへの転換期を迎えつつある。


(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)《FA》

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