ウォーターD CORPORATE RESEARCH(8):第三者割り当て増資で光通信が筆頭株主に

2014年1月31日 19:13

印刷

記事提供元:フィスコ


*19:13JST ウォーターD CORPORATE RESEARCH(8):第三者割り当て増資で光通信が筆頭株主に

■TOPICS 2

(2)第三者割り当て増資

◆光通信が筆頭株主に躍り出る

今回、ウォーターダイレクト<2588>が第三者割当増資及び新株予約権の発行で調達する資金は約4.5億円。いずれも合弁パートナーである光通信が引き受ける。これにより光通信は、一部大株主からの株式譲受もあり、15.00%の株式を保有する同社の筆頭株主に躍り出る(新株予約権行使後は18.94%)。なお、新株予約権の行使には前記合弁会社が一定数の顧客数を獲得することが条件となっており、貢献に応じた行使といった仕組みとなっている。これら潜在株式により、現行株式には最大11.5%の希薄化が生じることになる。ここで注目されるのは、(1)株主構成の変化、(2)資金使途、(3)財務への影響、の3点となろう。

◆資金使途はPET容器の内製化設備投資など。売上原価率引下げに効果

このうち、資金使途は最重要の注目点。会社側はこの調達資金をウォーターサーバーの開発施設やPET容器の内製設備取得に充当するとしている。特にPET容器の100%内製化は原価率を7~8%改善させることが可能と見込んでおり(現状、容器材料のプリフォームは100%外部調達であり、成形過程の内製化率はおよそ50%)、その効果は非常に大きいものが期待される。具体的には、原価率を8%引き下げた場合、現状の事業規模で売上総利益率は2pt程度の改善に繋がることが予想される(2013年度の予想原価率は約24%)。営業利益段階では2億円程度の改善要因となり、大幅な利益水準の引き上げに繋がることになる(2013年度の現状予想営業利益は5.3億円)。

◆今後は増産効果が効く事業構造に

それ以上に、この投資が将来の増産効果への期待も可能とする点は見逃せない。そもそもワンウェイ方式の宅配水事業にある同社は、どうしても変動費が嵩むコスト構造となっている。これは収益の安定性が高いとも言える一方、規模の経済が効き難く、事業拡大を進めても利益率の大幅な改善や急成長は望み難いという事業体質となっていた。しかし、固定費のウエイトが高くなる容器内製化においては規模の経済が大きく寄与してくる。OEM契約の増加や合弁販売会社設立などでボトルの生産本数が拡大する局面では、その効果をフルに発揮することができよう。フル生産状態ともなれば、プロセス改善や歩留まり向上も相俟って、上記の目算を上回る原価低減効果をもたらす可能性もあると予想する。ただし、このことは操業が低迷してしまえば、利益面での強烈な重石となることでもある。だからこそ、前段の通り、同社は合弁販売会社の設立などで再攻勢に向けての狼煙を上げたのだとも言える。これらの戦略は明らかに連関している。

◆自己資本比率も改善へ。希薄化リスクも、設備投資効果で吸収可能と見る

また、これによりウォ−ターダイレクトの純資産は、期間利益寄与も併せ、2014年3月末には21億円程度まで増加する見通し(2013年9月末実績は14.8億円)。総資産の状況にも拠るが、自己資本比率は9月末から10%ptほど上昇し、35%前後にまで達する可能性がある。同社は先行投資準備資金を一定額保有しておく必要から、どうしても借入金が重く圧し掛かる財務構造にあったが(その結果、株主資本比率は低くなる)、これにより財務面での安定性は格段に改善されることとなろう。

なお、このことは現行株式の希薄化、ROEの引下げ要因となる。しかし、容器内製化効果のみで年間2億円程度の営業利益改善が現状でも見込まれるとすれば、その寄与は株式希薄化の影響を十分吸収することが可能と試算できる。これを見る限り、既存株主への影響は限定的であり、むしろ財務改善メリット、及び収益改善メリットの方が大きいと判断する。

◆ベンチャー企業から事業継続性を前提とできる会社への変化に応じ、株主構成も徐々に変化し始める

株主構成の変化についても、同社が第2ステージへ移行しつつあることを印象付けるものとなった。同社の大株主にはベンチャーキャピタルが名を連ねているが、このことは将来に潜在的な株式の売却圧力が控えているということでもある。今回、長期的な保有方針を明確にしている光通信が筆頭株主として浮上したことで、その圧力のインパクトは相対的に大きく低下したとも言える。一般に「ベンチャー企業」が「事業の継続性を前提と出来る企業」へ移行する過程において、こういった株主構成の変化は避けて通れないもの。黎明期を越えてきた同社においても、こういった動きが出てくることは極自然なことでもあり、ベンチャー時代とは異なるまた別の展開が求められる局面に差し掛かったのだと位置づける。


(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)《FA》

関連記事